更新日:2023年05月24日 15:44
ライフ

写真だけで楽しめる「全国おもしろ駅舎」。巨大な土偶、河童づくし…

―[シリーズ・駅]―
 鉄道駅というと、地方に行けば古い駅舎などを見かけるが、基本的に落ち着いた感じの建物がほとんどだ。だが、なかには見る者を圧倒する強烈な個性とインパクトを放つ駅もある。

怖すぎて泣き出す子供も

木造駅

木造駅(2020年2月訪問)

 まずはJR五能線の木造駅(きづくり。青森県つがる市)。“土偶駅”としてこれまでテレビや雑誌、ネットでさんざん取り上げられてきた有名駅だが、やはりここを紹介しないわけにはいかない。
駅名標にも土偶のイラスト

駅名標にも土偶のイラスト

 実は、地元では江戸時代から縄文時代の石器などが多数出土していて、1887年(明治19年)には駅舎の巨大土偶像のモデルになった遮光型土器が発見。大きなメガネをかけたようなどこか愛嬌のあるこの土偶は、教科書などでも紹介されており、見たことがある人も多いのではないだろうか。  そんな縄文遺跡の町のシンボルとして、1992年(平成4年)にふるさと創生事業の一環としてこの土偶駅舎が誕生。周辺にはビルなどはほとんどなく、遠くからでも高さ17.3メートルの巨大土偶像を眺めることができる。
駅構内には土偶のレリーフが

駅構内には土偶のレリーフが

 しかも、新駅舎完成当初は「いらっしゃいビーム」といって列車が到着するたびに土偶の目が点滅しておもてなしをしていた。たが、怖がって泣き出す子供がいたことから現在は自粛(※地元のイベント開催時などに点滅させることはあるとのこと)。確かに、特撮モノに出てきそうなこんなにデカい土偶の目が光ればちょっと怖いかもしれない。
駅の隣の公園にある竪穴式住居

駅の隣の公園にある竪穴式住居

 なお、木造駅から徒歩15分ほどの場所には『つがる市縄文住居展示資料館』があり、地元の亀ヶ岡遺跡から出土した石器や土偶などを展示。また、駅の隣の小さな公園にも竪穴式住居がある。

田んぼの真ん中にポツンとある太鼓駅

糠沢駅

糠沢駅(2020年2月訪問)

 続いて紹介するのは、JR奥羽本線の糠沢駅(ぬかざわ。秋田県北秋田市)。駅の周りに田んぼが広がる無人駅だが、駅舎はなぜか太鼓の形。ただし、土偶駅舎の木造駅ほどの知名度はなく、鉄道ファンでさえ知らない人がいるほどだ。
駅の周りには何もない

駅の周りには何もない

 以前は貨車を改装した駅舎が使用されていたが、2009年(平成21年)に太鼓駅舎が完成。地元に古くから伝わる綴子大太鼓(つづれこおおだいこ)を模したデザインとなっている。  モデルとなった大太鼓は現在6張あり、小さいものでも直径2メートル。なかには「牛の一枚皮を使った世界一の和太鼓」としてギネス認定されている3.71メートルの太鼓もあるほどだ。
太鼓駅舎の内部

太鼓駅舎の内部

 駅舎は直径3.9メートルと最大級の大太鼓とほぼ同じサイズ。室内は4畳半ほどのスペースでベンチを設置。太鼓の形に添って丸みを帯びた壁が面白い。
思い出ノートに描かれた駅のイラスト

思い出ノートに描かれた駅のイラスト

 日中は普通列車さえ通過してしまうため、アクセスは便利と言い難いが、置いてあった思い出ノートには訪れた鉄道ファンのメッセージやイラストが数多く書き込まれていた。
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河童づくしの駅とは
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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