緊急事態宣言で再燃する「名古屋飛ばし」。ジャニーズのコンサートも…
“名古屋飛ばし”という俗語がある。これは日本の三大都市圏といわれる東京・大阪・名古屋のうち、大規模なイベントなどが愛知県名古屋市およびその周辺で行われないことを指すものなのだが、この言葉が’20年4月7日にクローズアップされる出来事が。それはこのたびの新型コロナ感染拡大をめぐり、7都道府県を対象に緊急事態宣言が政府から発令されたが、そこには5番目に感染者数が多い愛知県が入っていなかったのだ(4月10日、県が独自に緊急事態宣言を出している)。
最初に“名古屋飛ばし”が話題となったのは1992年のこと。同年の3月から東海道新幹線の“のぞみ”の運転が開始されたのだが、その当初、一部の列車が新横浜駅には停車するものの、名古屋駅を通過したことから、JR東海の本社がある駅を通過させるとは何事かと愛知県、特に名古屋市を筆頭とする尾張地方の政財界から大ひんしゅくを買うハメに。
その後、のぞみの全列車が名古屋に停車するようになり、鉄道における名古屋飛ばしは解消されることになるのだが、それが実現したのは’97年11月末のこと。運転開始から実に5年半もの月日が流れてしまっていたのである。
名古屋飛ばしの中でも典型的な例とも言えるのが、海外アーティスト、いわゆる“外タレ”のコンサートだろう。’87年にマイケル・ジャクソンとマドンナが初訪日コンサートを開催したのだが、横浜公演や福岡公演がありながら名古屋公演がなかった事実がある。マイケル・ジャクソンは’93年、’96年にもワールドツアーの日本公演を開催しているが、やはりこの2回とも名古屋は飛ばされるという悲劇に。
またポール・マッカートニーも初めての単独来日公演が実現したのが’90年。その次の’93年時の公演では福岡ドーム、’02年公演では大阪ドームで初めての開催となっている。’13年には東京・大阪・福岡でドーム公演を行ったが、ここでも名古屋はスルーされてしまった。愛知県民の悲願が実現するまでには’18年11月のナゴヤドーム公演まで待たなければならなかったのだ。
大型の企画展が分かりやすい例だが、関東のほかは関西でのみ開催というケースが実はほとんど。メジャーな企画でさえ、名古屋での開催は極めて少ないのが実情だ。
例えば’17年に開催された“『怖い絵』展”は関東なら東京の上野の森美術館、関西なら兵庫県立美術館でののみの開催だった。また’18年に東京の国立新美術館で約42万人を集客し、年間3位の動員記録をマークした“ルーブル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか”は東京で開催されたあと同年9月から’19年4月までは大阪市美術館で開催されているが、名古屋で開催されることがなかったのだった。
日本古来の伝統芸能の分野でも名古屋飛ばしは行われている。東京なら歌舞伎座がお馴染みの場所だが、実は関西にも京都に南座、大阪には大阪松竹座があるが、名古屋には収容人数1000~2000人クラスの商業劇場は御園座しかない状態。
そのため歌舞伎以外にも大衆演劇やミュージカルなどがすべてこの劇場に集中してしまうことから、公演したくても泣く泣く断念せざるを得ない演目が生まれてしまっているのが現状だったりする。
これによって“名古屋飛ばし”というワードがツイッターでトレンド入りするなど、ちょっとした話題になっている。そこで今回はこれまでにあった“名古屋飛ばし”の例を検証、愛知県民の悲哀の歴史を紐解いていこうと思う。愛知県は、令和2年4月10日(金曜日)に「新型コロナウイルス感染症愛知県緊急事態宣言」を発出しました。
— 愛知県庁 (@pref_aichi) April 10, 2020
県民の皆様には、「不要不急の外出」と「移動の自粛」をお願いします。
詳しくは愛知県ホームページをご確認ください。https://t.co/NYSFf9iDy0 pic.twitter.com/tzvBII0Hm2
その1 “名古屋飛ばし”の原点
その2 来ない来ない、あの有名外タレが来ない……
その3 美術館展すらもスルー
その4 日本古来の伝統芸能も名古屋には冷たい……
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