ガイガーカウンター測定報道 数値が各誌バラバラの理由
政府や東電発表が信頼性に欠けると判断する人が増え、ますます需要が高まっている放射線の自主計測。メディアも、独自の計測記事を掲載しているが、その数値が“煽らない派”と“煽り派”で大きな隔たりがある。いったいなぜこんなことになったのか? その背景を探った!
福島第一原発事故以降、放射線量は国民の最大の関心事の一つとなった。幼い子供を抱えている人は、放射線量の数値をもとに子供を遊ばせる場所を考えている人もいるだろう。個人でガイガーカウンターを購入し測定する人も増えており、ガイガーカウンターも売れている。秋に家庭用線量計(ガイガーではなくフォトダイオードで計測する)の販売を決めたエステーも株価が急上昇するなど、多くの人の関心が「放射線測定」に集まっている。
それに伴ってメディアの報道も過熱。特に、週刊誌は毎週のように各地の放射線量を計測して掲載している。東京電力や政府の発表がいまひとつ信用できないだけに、各誌がこうして独自のデータを掲載することは、情報に飢えている国民にとって悪いことではないように思える。
しかし、だからこそ気になるのが、掲載される数値が週刊誌によって大きく異なる点だ。全く同じ場所で計測しているわけではないにせよ、大して離れていない場所なのに、数倍もの開きがあるケースも多い。もちろん、その数値への評価もバラバラで、ある雑誌を読めば「放射能は関東一円に蔓延」と書かれており、別の雑誌には「心配ない」と書いてある……というありさまなのだ。これでは、もはや何を信じればいいのかわからないという読者も多いだろう。
こうした状況について、物理化学が専門の小波秀雄京都女子大学教授は次のように話す。
「メディアが独自に放射線量を計測することは、決して悪いことではないと思います。個人も含め、どんどん測ったほうがいい。そうやってデータが蓄積されれば、対策などに活用することもできます。でも、重要なのは“正しく測り、正しく分析しているか”。空間放射線量を計測するときは、β線はカットしなければなりません。もしカットしていなければ、当然大きな数値が出てしまう。また、同じメーカーの線量計でも、1台1台に個性があり、高い数値が出やすいものもあるんです。もちろん、計測する回数も多いほうがいい。1μSv/時を下回るような低線量だと、多少の違いは誤差の範囲です。だから、できるだけたくさん計測し、平均値を出さなければならない。こうした点を踏まえて計測した数値を出すよう心がける必要はあります」
どうやら、各誌で結果が異なるのは、測定法を誤っていたり、線量計をきちんと校正していないことが背景にあるのかもしれない。
― 放射能[ガイガーカウンター測定報道]のウソ【1】 ―
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