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障がい者福祉の現場で悲鳴…安倍総理へ大川興業総裁が伝えたかった現実

 5月4日の緊急事態宣言延長に伴う首相会見動画をインターネットで観ていたら、質問者の中に芸能事務所「大川興業」総裁の大川豊さんの姿があった。お笑い芸人の江頭2:50さんが所属する事務所の創業者だ。
大川総裁

4日の記者会見で安倍総理に質問した大川総裁(撮影/小川裕夫)

 この日フリーランス記者として会見に出席した大川総裁が安倍晋三総理らへ質問したのは、新型コロナウイルスにおける知的障がい者や発達障がい者の行動指針についてだった。安倍総理と尾身茂会長が回答したが、思うような答えが引き出せなかったように見えた。  あの時大川総裁はどんな答えを引き出したかったのか、そもそもなぜ会見に出席していたのか、どうして知的障がい者や発達障がい者の行動指針について質問しようと思ったのか。尽きない疑問について、大川総裁に聞いた。

「知的障がい者や発達障がい者」への言葉見当たらず…一般論に終始

 4日首相会見での大川総裁と安倍総理、尾身会長のやり取りを振り返ってみたい(以下、首相官邸ホームページの「令和2年5月4日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見」より)。 記者:こんにちは。フリーランスの大川興業総裁の大川豊です。よろしくお願いいたします。まず、私は、知的障害者の施設の現場を全国歩いておりまして、どうしても家の中に閉じ込めておけないとか、やはり外に出るのが大好きだとか、あと、買物が好きだとか、どうしても同行者がいないと活動できないという現実がありまして、例えば知的障害であったり、発達障害の子供たちに対しての行動指針、それを政府としてお示しになるか。それをちょっとお伺いしたいと思います。 安倍総理:尾身先生からよろしいですか。 記者:是非、やはり買物しているときも2人で一緒に移動しているので、政府からもお答えを頂ければと。 安倍総理:分かりました。まずは、都道府県によって大分事情が違いますから、都道府県によっては、正に最初に申し上げましたように、まず外出するということについては全く悪いわけではないということであります。先ほど申し上げたとおりでありまして、地域によってはというか、まずは例えば公園とかは、これは3密を避けていただければ問題はないということでありますけれども、あと、詳しい専門的な分析については、尾身会長からお答えをさせていただきたいと思います。 記者:できましたら開いているスポーツ施設とか、今、閉鎖されているのですけれども、そういったところ。 内閣広報官:まずはお答えを聞いていただきたいと思いますので。 尾身会長:今の施設のこともそうですけれども、各場所によって状況が違いますよね。それを今、全ての場面について言うことができないので、実は、これから特に長丁場と言われているこの時期に、皆さん自身が自分を、我々自分を守り、他の人にも感染をうつさないというには、基本的な原則というのをみんなが理解することがあって、実際のいろいろな場面はその原則の応用というか、それをみんなで工夫するということで、先ほども、各事業者についてもまたガイドラインをつくっていただきたいということですけれども、では、3つの基本的な原則といいますか、基本は何かというと、これは1つ目はよく言われる、今、一番大事なのはフィジカルディスタンス。今、ソーシャルディスタンス、社会的隔離と言っていますけれども、我々は少し社会的隔離と言うと何か分断しているようなので、フィジカルディスタンスを取るということが極めて重要です。ワクチンがない今のこの状況で感染症対策に最も大事なのは、感染しているかもしれない人とそうでない人の、これはもうずっと古典的にそうなのです。これが一つ、フィジカルディスタンス。  それから2つ目は、実は、マスクについてはいろいろな見解がありますけれども、最近になって、これは我々も学びつつ動いていますので、マスクについても比較的、当初は余り効果的ではないということですけれども、最近になると、この感染症の難しさがはっきり分かってきたのは、一番症状が出る、出ますよね。感染して症状が出る2日ぐらい前と、感染をして直後、この数日ぐらいが最もウイルスの排出量が多いのですね。したがって、まだ症状が出ていないうちに人に感染させるということがはっきり、前から、もう当初から我々はそういうことがあるのではないかと思っていましたけれども、かなりはっきりしてきた。  そうすると、症状がないわけです。せきとか何かがないのにほかの人にうつってしまうという可能性があるので、ここでマスクが。実際にマスクの使用というのはそこが極めて重要です。したがって、距離が遠い場合はいいですけれども、実際に対面するときも、会話するときも、なるべく正面に向かないで。時々は、だけど、会話するときは正面を向いてやらざるを得なくなりますよね、日常では。そういうときにはマスクをしていただきたいということが第二の原則です。  それから第三の原則は、これはもう極めて有効なのは手洗いと。この3つのことをじっくり守って、あとは現場のいろいろな状況にそれを応用する、工夫していただくというのがいいのではないかと思います * * *  回答を見る限り、2人は外出自粛の状況の中で感染症に気を配りながら外出するための方法を説明している。「知的障がい者や発達障がい者」といった言葉は見当たらず、2人の回答は一般論に終始している印象だ。  都内で知的障がい者介助ヘルパーをしている桜井優也さん(20代・仮名)は、失明と歩行障がいを負う当事者の付き添いで勤務中に外出することも少なくない。散歩に出掛けたり、都心へ買い物に行ったりすることもあった。  新型コロナの影響で人混みが多い所には出歩かないよう、運営する事業所から自粛するよう言われている。だが、桜井さんは当事者のストレス緩和をするためにもできる限り外出をさせたいと考えている。桜井さんは「家庭内にこもると抱えきれないストレスを生みやすい。ネグレクトの発生を危惧していました」。大川総裁が首相会見で質問してくれたことに感謝し、政府が改善策を出す一助にしてほしいと願う。
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10年前から知的障がい施設訪れる大川総裁
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新聞記者兼ライター。スター・ウォーズのキャラクターと、冬の必需品「ホッカイロ」をこよなく愛すことから命名。「今」話題になっていることを自分なりに深掘りします。裁判、LGBTや在日コリアンといったマイノリティ、貧困問題などに関心あります。Twitter:@hokkairo_ren

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