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障がい者福祉の現場で悲鳴…安倍総理へ大川興業総裁が伝えたかった現実

10年前から知的障がい施設訪れる大川総裁「現場の声届いてない。はっきりと感じた」

大川豊

大川興業総裁の大川豊さん

「10年ほど前から知的障がい施設の訪問を続けてきました。現場から悲鳴に近い声を聞いていたので、今回その状況を安倍総理に伝えたかったんです」  電話取材に応じた大川総裁の声には、障がい者介護現場の声を届けたいという切実さがあふれていた。安倍総理らとの5分ほどの質疑応答を振り返り、「現場の声が届いてなかったのだとはっきりと感じました」と述べた。  外出自粛が続く中、多くの人がストレスを抱えながら生活している。マスクを付け、消毒を徹底し、「3密」を避ける……。感染症対策を実行したくても、知的障がい者や発達障がい者にとって難しいこともあるという。 「例えばずっと家に閉じこもっていると暴れる人や、マスクをしたくてもすぐ外してしまう人もいます。買い物へ行くにもヘルパーが手をつないで付き添うケースもあるので、周りからの目が気になると自粛している人がいるとも聞いています」  サポートする家族の負担も増している。心身共に追い詰められて、当事者へ暴力を振るうケースが起きないかとの懸念が募るばかりだ。大川総裁は「買い物にしても電車に乗るにしても、みなさんの目が厳しいのが現状です。それでも現場の声を聞いて、国としての行動指針が出してほしい」。安倍総理らへ質問をした背景には、そんな思いがあった。

大川総裁「国民の理解を得るために、国が方針を出して」

 フランスでは既に自閉症の方々への外出自粛緩和を決めた。政府が発行する証明書を携帯し、感染症対策に気を配って外出するよう方針を打ち出した。大川総裁は「国民の理解を得るためには、先ずは国から方針を出してもらわないといけません」と他国の事例を踏まえて訴える。  ただ質問するだけではない。会見では内閣広報官から制止されたが、閉鎖されているスポーツ施設を活用できないかとも提案した。当事者やその家族らが気兼ねせず利用するための一案として触れた。  首相会見には民主党政権の頃から出席し、10年目にして初めて質問をする機会を得た。 「自分の場合は必ず現場で聴いたことを質問しようと思っています。震災の時もそうだったように、こういう時には社会的弱者の人たちが大変な目に遭うことを感じていました」  現場で知り得たことを政府や政治家に届けたいと語る大川総裁は、芸人というよりもジャーナリストのようだ。YouTuberとして飛ぶ取り落とす勢いの江頭2:50さん所属事務所の創業者とは信じられないほど落ち着きを払い、新型コロナ禍における障がい者福祉の現状を語ってくれる。

「現場主義」貫く…知り得たことをアイデアとして打診

大川豊

17年フランス大統領選挙の現場にも赴いている(撮影/大川豊)

 そもそもなぜ大川総裁は現場に足を運ぶのだろうか。03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)で揺れる香港や16年の米大統領選挙の様子を現地で体感した。貫くのは「現場主義」だ。 「ネットでは分からないことが多いから、現地に行くんです」  香港の病院における医療体制やトランプ陣営とヒラリー・クリントン陣営の熱気の違いなど、実際見たり聞いたりしたことがネット上で知る話とは異なっていた。 「米大統領選時のトランプ陣営の熱量は凄かった。有権者から話を聞いたら、ヒラリーよりトランプに入れるとの声が多くて。(トランプは)動員をかけなくても有権者が集まっているんです」と驚き交じりに振り返る。  福祉現場に赴き知り得たことを政策立案に関わる官僚や政治家に伝えるため、勉強会に参加し発言することもしばしばだ。当事者たちから聞き取った意見を踏まえ、アイデアとして披露するのが大川流だ。 「官僚や政治家の皆さんは忙しいからなかなか生の声が聞く機会がないかもしれませんので、自分が代わりに聞いたことを話しつつ、閃いたことを伝えるんです。困っている現場が改善されればうれしいじゃないですか」
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安倍総理に次に質問したいことは…
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