更新日:2020年10月12日 17:32
仕事

非正規労働者がコロナ不況の餌食に。シフトを減らされ給与もカット…

 緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたら一段落……そんな安心感は幻想にすぎない。経済対策の効果が切れ、企業の体力が尽き、大量の失業者が生まれる「雇用崩壊」はむしろこれから本格化する。リーマンショックをはるかに超える「コロナ氷河期」。その最悪のシナリオと生き残る術を探っていく。 コロナ氷河期の衝撃

すでにコロナ氷河期の真っただ中にいる「非正規労働者」

 秋冬以降にリストラ、倒産、失業の波が押し寄せるコロナ氷河期だが、「非正規労働者の元には、すでに氷河期が訪れている」とは労働相談に取り組むNPO「POSSE」代表の今野晴貴氏。 「連携する『総合サポートユニオン』と合わせて年間1500件ほどの労働相談に対応してきましたが、今年は2~5月末までにすでに約3000件の相談がコロナ関連だけで寄せられています。主な相談は『休業手当関連』『解雇・雇い止め』『3密下での危険な労働』の3点。相談者で最も多いのは40代の女性で飲食や観光といったサービス業が中心ですが、必ずしもそれだけというわけではなく、幅広い業種・年代に影響が出ています」
コロナ氷河期の衝撃

今野晴貴氏

 同じく生活困窮者を支援するNPO「生活サポートセンター・もやい」にも相談が殺到していると同NPO理事長の大西連氏。 「4~5月にかけて直接の相談が400人、電話・メールを合わせれば約1000人が生活困窮を訴えてきました。相談日や窓口を倍近くに増やして対応しましたが、こちらも人員的にはギリギリです。相談者はリーマンショックのときは製造業が中心でしたが、今回は業種も年代もさまざまですね」
コロナ氷河期の衝撃

大西連氏

 5月25日に緊急事態宣言が全面解除されて以降は、一段落したのだろうか? 「休業申請については、一時に比べれば落ち着きましたが、コロナ以前のようには働けない。今度はシフトを減らされたり、給与をカットされたという相談が増えています。もともと非正規労働者には経済的な余裕がありませんから、死活問題です」  想定外の事態に国の支援も瀬戸際だと大西氏。 「厚労省の貸付事業に携わる全国社会福祉協議会の発表によれば、生計維持の特例貸付が始まった3月25日~5月30日までの時点で約38万件の申請がありました。東日本大震災が起こった’11年の一年間の申請件数が約7万件。今回は2か月で5倍以上の申請があったことになります」
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最悪、借金を抱えながら生活保護
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終わりなき凍りついた世界を生き抜くために
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