三浦知良と西城秀樹に勇気づけられた日 ―カズとヒデキとヤングマン―
文/椎名基樹
9月23日、等々力競技場で行われた川崎フロンターレ戦において、横浜FCのキングカズこと三浦知良が先発出場しJ1の最年長出場記録を更新した。 53歳210日がその記録である。2007年12月1日以来、13年ぶりのJ1の舞台でのプレイであった。このニュースはヨーロッパ各国でも報道された。
私は52歳であるが、ふと気がつくと老後の心配をしている(笑)。カズに人間の可能性は無限である事を教えられたようで勇気づけられる。1つのことに打ち込む、彼の一途さは、人を爽やかな気持ちにさせる。
試合にはカズの他に42歳の中村俊輔、39歳の松井大輔も先発出場した。横浜FCが誇るレジェンドトリオだ。さらに川崎フロンターレの中村憲剛も、昨シーズンに負った大怪我から7ヶ月のリハビリを経て負傷後初先発を果たした。彼は39歳だ。
もしかしてこの日が「ヤングマンの日」なので両監督の粋な計らいで「永遠のサッカー小僧(ヤングマン)」を集結させたのかもしれないなんて、楽しい憶測をしてしまった。「ヤングマンの日」とは川崎フロンターレ夏の風物詩(今年はコロナの影響で9月開催)となっている「川崎市制記念試合・ハーフタイムY.M.C.Aショー」のことである。
川崎在住だった西城秀樹は、2000年を皮切りに、2004年から2017年まで年に1度、等々力競技場で開催されるフロンターレのホーム試合のハーフタイムショーで「ヤングマン」を披露し続けた。 2000年はフロンターレが初めてJ1に昇格した年であったが1シーズンで降格する。 2004年に再び秀樹に後押しされる形で、J1復帰を果たした。当時のフロンターレは3000人から5000人ほどしか観客を集められなかった。それでも秀樹は「地元を盛り上げたい」と、ギャラ度外視でハーフタイムショーの出演を快諾した。
カズ、俊輔、松井……永遠のサッカー小僧たちが集結した日
「ヤングマン」で川崎フロンターレを盛り上げた西城秀樹
川崎フロンターレはラッキーだ。西城秀樹ほど観客を盛り上げることを熟知した歌手もいないし、「ヤングマン」ほど聴く者を1つにするキラーチューンもないだろう。世代を超えて誰もが知る曲。勇気が出る前向きな歌詞。そしてキャッチーな振り付け。秀樹のハーフタイムショーは観客を1つにした。そして、いつしか等々力競技場は特有のアットホームな心地良い雰囲気を持つようになった。プロスポーツチームはファンに愛されて初めて成立する。多くの芸能事務所から「冗談でしょ?」って言われるような費用しか用意できなかったのに、当時川崎在住というだけで男気で来てくださった。以来ずーっと頭が上がらなかったけど、去年西城さんの方から「毎年呼んでくれてありがとうね」って。僕、感謝の気持ちを持つ大切さを教えてもらったよ。#frontale pic.twitter.com/i0ZOX7N9KZ
— ふろん太 (@kawasaki_f) May 17, 2018
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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