東京五輪とコロナ第4波が重なる可能性。経済損失1.6兆円以上か
3月25日、東京2020オリンピック聖火リレーが福島県のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジからスタートした。そのコンセプトは「希望の道を、つなごう。」だが、リレー開始2日目にして計3回もトーチの火が消えるアクシデントが発生。さらに、DJを乗せたトラック数十台が大音量で走者を先導するという復興五輪らしからぬお祭り騒ぎは賛否両論を呼んでいる。
これに前後して、開催地・東京都のコロナ新規感染者数は再び増加に転じた。3月24日には400人を超え、“再”緊急事態宣言明け初の週末となった27日には430人に。こうした感染状況を受け、すでに海外からの一般客の受け入れ断念が決定しているが、果たしてどんな五輪になるのか?
宮本勝浩関西大学名誉教授は「最低でも約1.6兆円の経済損失が発生する」と試算する。
「各競技の収容人数を50%以下に抑えることを想定すると、経済損失は1兆6258億円に達するのです。このうち2360億円が海外客の受け入れ断念に伴う損失額。感染拡大への危惧や水際対策の難しさ、医療現場がひっ迫する可能性などを考えれば受け入れ中止はやむをえませんが、この影響は五輪後の日本経済に大きなダメージをもたらします。
なぜなら、観光庁の集計によると、訪日外国人の60%以上はリピーター。東京五輪をきっかけに初来日する人の半数以上がもう一度日本を訪れる可能性が高かったのに、そのチャンスも失われるのです」
だが、最も危惧されるのは、五輪開催期間にコロナの感染拡大が重なるリスクだ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が話す。
「コロナは風邪ウイルスの一種。すでにイギリス型、南アフリカ型など4種の変異株が世界で流行を繰り返しているように、感染拡大には季節要因があります。昨年の1月と8月に世界各国で感染者数がピークに達しており、その2~3か月前から感染が広まり始めたのです。
このデータに照らし合わせて考えると、緊急事態宣言が明けて再び感染が広まりつつある東京は6~8月にかけて感染者数がピークに達する可能性が高い。4月から一般の方へのワクチン接種を開始する方向で準備が進められていますが、イギリス型の変異種はワクチンの免疫効果を阻害する可能性が高いとされています。
すでに変異種の広がりが確認されている日本におけるワクチン接種は、効果薄に終わる可能性もあるのです」
最悪の場合、再々緊急事態宣言下での五輪開催も考えられる。当然、経済損失はさらに膨らむという。
最低でも約1.6兆円の経済損失が発生?
コロナ第4波と重なる可能性も
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