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「優しくするとナメられる」はもう古い。若手に好かれる「共感力」とは

あらゆる時代の転換点に置かれ、右往左往してきた40代、50代の会社員。世間の意識も次第に変容し、叱ることがタブーとされる今、慕われる上司・先輩のひとつの武器は「共感力」だ。後輩から慕われる共感力を身につけ、「イケてる中年」にアップデートする方法を探る!

苦労を糧に養った共感力

イケてる中年

※画像はイメージです

 産廃処理会社で課長を務める鈴木英紀さん(仮名・47歳)もまさに“共感する上司”。  鈴木さんの部下は、「とにかく温厚で優しい。かといって舐められているわけでもない」と社内で一目置かれている存在だと話す。その共感力がどうやって培われたのか、鈴木さんはこう語る。 「大学卒業時に就職氷河期の影響で就活に失敗し、契約社員として滑り込んだ会社を上司のパワハラで退社しました。その後、2年半引きこもり、30歳目前で『このままじゃダメだ』と、アルバイトとして働き始めました」  ほどなく真面目な働きぶりが評価され、正社員に登用。多くの部下を持つまでになった。

相手の気持ちを理解することが上司の役目

「課長になってみると、やっぱり過去の経験がフラッシュバックします。自分がされて嫌だったこと、苦しかったこと、逆にしてほしかったこと……。  そう考えると、頭ごなしに否定せず、『なぜそういうことをするのか?』『なぜそういうことを言うのか?』と相手の気持ちを理解することが、自分なりの上司の役割だと思いました。いくら仕事がデキても、高圧的な上司は一番嫌な上司かもしれません」  鈴木さんの部下は言う。 「ウチみたいな産廃業者は、職を転々としているとかスネに傷をもつ連中が少なくありません。でも、課長は絶対に見下さず、同じ目線で話をしてくれる。自分たちに寄り添ってくれる。それがわかるんです」  鈴木さんは「褒めすぎだ」と照れつつも、こう続ける。 「今の会社の入社3年の離職率は10%以下。働きやすい職場づくりに貢献できて、これほど嬉しいことはないです」  己の弱さを知るからこそ人の痛みや弱さも理解できるのだ。
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貫く信念に若手が共感
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