地方議員は正直おいしい? 兼業の写真家・伊藤大輔が語る二足のわらじ生活
生活に密接にかかわる身近なテーマが議論される場である一方、人々に関心を持たれにくい「地方政治」。コロナ禍で初めて自分が住んでいる自治体の首長の顔を知ったという人も少なくないかもしれない。
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロのスラム街「ファベーラ」に10年間暮らしながら、そこで生きる人たちのリアルな日常を切り取る写真家として、テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS系)にも出演、大きな話題を呼んだ伊藤大輔氏。その後、2016年に帰国。神奈川県秦野市に移り住んだが、今どうしているのか——。
おいしい地方議員 ローカルから日本を変える!』(イースト・プレス)を上梓した伊藤氏に、ローカル議員の待遇や自身の活動についてうかがった。
現役の秦野市議会議員である伊藤氏。本書の冒頭では、求人広告の体裁を引く形で、年俸762万円(議員報酬は自治体の人口の数に比例)、労働日数38日(令和元年度の秦野市議会の開会及び会議等日数、議員個人としての年間公務)、競争倍率1.17倍など、赤裸々にその待遇を紹介しているが……。
「一応、今回は『おいしい地方議員』ってタイトルだけど、はっきり言って大変だよ(笑)。条件としては“兼業あり”で、地元の企業や青年会議所、商工会議所を代表して、鉄工所とか、農業とかをやりながら、普通に市議会議員をやっている人は多いんだよ」(伊藤氏、以下同)
伊藤氏も当然、写真家を続けながら議員の仕事もしている。
「俺も器用じゃないから、議会中は完全にそっちに意識がいっているんだけど、『本業があるから無理』ってことで議員との兼業に壁を作ってほしくなかったから」
また、選挙での具体的な段取りなどについても明かす。伊藤氏は「うるさいと思った」という理由で選挙カーによる選挙運動はしなかったそうだ。
「選挙も議会も長年の慣行で運営されているところがあるけど、それって思考停止で。だから、素人もプロも本当に関係ないんだよ。小中高で野球部のキャプテンをやっていたときから天邪鬼で、基本的に人に言われたことをただやるのが好きじゃなくて。
本当にそれがベストなのか、意味があるのか、自分の頭でひとつひとつ考えて、ちゃんと判断しているんだよね」
選挙ポスターやビラの作成費などは公費で賄われ、それ以外の伊藤氏の選挙活動での出費は12万円ほどで、選挙の準備期間は約1か月。選挙と聞けば、大きなお金がかかるイメージもあるが、供託金だけで数百万円もする国政選挙に比べ、市議会議員選挙は供託金30万円と、参入障壁はずっと低かったようだ。
「地方議員の実態を知って、本気で若い人がやる価値があると思って。だれかに会うたびに誘っていました。去年10月くらいに熊本の友達に会ったときに『現役議員が言うと説得力あるね。本でも書いたら?』と言われて。すぐ知り合いの編集者に電話したんだよ」
2019年8月、秦野市議会議員に初当選。異色の経歴を持つ「地方議員」として活動を続けていた。今回は、その仕事について記した『じつは“兼業”の地方議員も多い
選挙の準備は1か月、費用は12万円
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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『おいしい地方議員 ローカルから日本を変える!』 ブラジルのスラム街で10年暮らした異色の現役・市議会議員が切り込む、 日本を変える最短ルート! |
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