コロナ禍で「在宅避難」は可能か。防災のキホンを専門家に聞く
日本は世界でも有数の災害大国といわれている。
地震や台風、ゲリラ豪雨など常に自然災害と隣り合わせの生活をせざるを得ない状況は、やはり不安を感じずにはいられないだろう。そんななか、大切になってくるのはいざという時のための備えや防災意識だ。いきなりの災害に慌てふためくのではなく、事前の準備や心構えをしっかりとしておくことで、冷静な行動をとりたい。
「災害は忘れた頃にやってくる」と言われているが、近年は天災がたびたび発生している。こと地震に関しては、1980年代と2010年代に起きた震度5以上の地震発生回数を比べると、実に9倍以上も増えているという。
“もしもの時の備え”という考えよりも、もはや“日常的に起こりうるもの”として、事前に防災対策をしていくことが求められるのではないだろうか。
松本さんは「災害対策から入ると目的が分からなくなりがちなので、起こる災害を事前に想定し、どんな準備や行動をすべきか考えることから始めること」が大事になってくるという。
「避難という言葉は“避”と“難”に分けられます。自分の生活にとって、天災で生じる“難”は何なのか。どういう被害が起こるのかを考えておくことが基本です。
そこから、防災用品や備蓄品、避難場所の確認など事前に備えられることはきちんと行っておく。『備えあれば憂いなし』と言うように、いざ有事が発生した時でも冷静にいられるような意識を事前につけておくといいでしょう」
地震発生時は、地盤沈下や建物倒壊、家具の転倒が考えられるだろう。また、地震が起きた直後は津波や火災といった二次災害の被害も想定しておかなければならない。
さらに、電気や水、ガスといったライフラインが寸断されてしまえば、日常生活にも支障をきたすことになる。
こうした地震による被害を想定した上で、防災対策は何から始めればいいのか。
まずは地震が起きた際に、今住んでいる場所はどんなリスクがあるかを「ハザードマップ」で知っておくことが望ましいとのこと。
「市区町村にはそれぞれハザードマップがあるので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。地震発生直後は、大規模な火災や建物の倒壊、地盤の液状化、津波など様々な災害が起きる可能性があります。地域によって、どんなリスクがあるのかが異なっているので、もしハザードマップ上で津波や火災のリスクが高い地域にお住まいの場合は、被害の少ないエリアに向かって逃げるのが基本です」
事前にリスクを先読みし、避難計画を立てておけば、いざ災害が起きた時でもパニックにならずに行動できそうだ。
次に自宅での防災対策についてだが、松本さんは「身の安全や避難経路の確保をするために、部屋の家具やモノの配置に気を配ることが大切」だと話す。
「部屋の中をきれいに整頓しておき、逃げ道となる導線を確保しておける空間を意識することが大切です。特にドア付近は、家具が転倒しても通路を塞いでしまわないように、家具を置く。
また、家具の転倒やモノの落下を想定してベットの近くや出入り口付近の配置はできるだけ避けましょう。地震の揺れで動いてしまわないよう、家具を固定することは大切ですが、その際は突っ張り棒タイプのものは縦揺れには耐えられないので金具を使用して直接壁に留めるのがお勧めです。
さらに注意したいのは、冷蔵庫やグランドピアノなどの重いキャスター付きの建具。転倒しなくても、地震の揺れで移動する危険があるので、粘着式の固定具で動かないようにしておく必要があります」
今回は防災の専門家である松本吉彦さん(旭化成ホームズ)へ、コロナ禍の防災トレンドや日頃から災害に対して備えるべきことについて話を聞いた。
いきなり対策をせず、まずは起こりうる災害を想定する
事前にリスクを先読みして避難を想定する
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ