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横浜市長選、田中康夫氏ら“反カジノ候補”が乱立。票の一本化に田中氏の意見は

与党系候補だった小此木氏も「カジノ誘致取り止め」を表明

6月29日、横浜市長選への出馬会見を行う山中竹春・横浜市立大学教授(右)。左は江田憲司・立憲民主党代表代行

6月29日、横浜市長選への出馬会見を行う山中竹春・横浜市立大学教授(右)。左は江田憲司・立憲民主党代表代行

 カジノ誘致が大きな争点となっている「横浜市長選(8月8日告示・22日投開票)で反カジノ候補が乱立している。当初は「自公推薦のカジノ推進候補」対「野党系のカジノ反対候補」の構図となり、世論調査ではカジノ反対が多いことから反カジノ候補が有利とみられていた。  リニアが最大の争点の静岡県知事選で自民党の岩井茂樹・前参院議員が川勝平太知事に敗れたのと同様に、菅義偉首相のお膝元の横浜市長選で与党系候補が敗北を喫する可能性は十分にあると見られていたのだ。  しかし、菅政権の閣僚だった小此木八郎・前国家公安委員長が6月25日、「横浜へのカジノ誘致取り止め」を掲げて出馬表明。その結果、状況は一変した。4日後の6月29日に立憲民主党推薦の山中竹春・横浜市立大学教授が出馬会見をしたものの、反カジノ票が与党系の小此木氏と野党系の山中氏らに割れてカジノ推進候補(林文子横浜市長ら)が競り勝つ可能性が出てきたからだ。

郷原氏が山中氏に質問状、主要政策への賛同が得られれば「立候補を撤回」

 その後も、7月7日に元検事の郷原信郎弁護士、翌8日にも元長野県知事で作家の田中康夫氏がカジノ反対候補として出馬表明。他にも、現職横浜市議や地元水産業者や動物団体代表者が名乗りをあげており、合計で7名(小此木氏を反カジノ候補としてカウントした場合)のカジノ反対候補が出馬した。カジノ推進候補がますます有利になる展開といえるのだ。  こうした事態に懸念を示した予定候補が郷原氏だ。出馬会見で「私の立候補が自民党側を利することになることは不本意」と強調したうえで、立憲民主党神奈川県連に山中氏の出馬会見内容に関する質問事項を送ったことを発表。山中氏が市長になるのに相応しいと確認でき、自身の7大主要政策への賛同が得られた場合は、立候補の意思を撤回して山中氏の応援に回るとの考えを明らかにした。  また、出馬の意向が報じられていた田中氏との候補者調整についても、郷原氏は意欲的な考えを示した。
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候補者同士の論戦は「望むところ」
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ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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