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参院選の隠れた争点「原発再稼働」。原発攻撃のリスク回避かエネルギー確保か

ウクライナ情勢を受けて原発政策の議論が真っ二つ

小泉元首相

「原発ゼロ」提言を出した原自連顧問の小泉元首相は、新潟県知事選では野党側候補として出馬した片桐奈保美候補(会社役員)を応援

 現在、ロシアのウクライナ侵攻で、エネルギー政策をめぐる国論が二分している。原発攻撃リスクを直視して脱原発を加速すべきとする野党と、原油価格高騰に対応するため原発再稼働を促進すべきとする自民党や維新が対峙している。  小泉純一郎元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」は6月2日、「原発再稼働は不要」とする提言を発表した。「原発ゼロ」を訴えて全国講演行脚を続ける小泉元首相の持論は「原発は自国に向けた核兵器と同じ」で、こう警告していた。 「他国が日本に侵攻し、54基ある原発を攻撃すれば甚大な放射能被害が生じ、核兵器による攻撃を受けなくても亡国の危機に陥る」
枝野幸男・前代表

枝野幸男・立憲民主党前代表(右)も小泉元首相と同様、「ウクライナ侵攻で真っ先に直視すべきは原発攻撃リスク」と京都街宣(5月4日)で訴えていた

 これと瓜ふたつの主張をしていたのが、枝野幸男・立憲民主党前代表だ。 「(ロシアのウクライナ軍事侵攻で)今の政府や与党や、与党だか野党だか分からない人たちは、この機会に行け行けドンドン、(原発再稼働など)ノー天気なことを言っています。でも例えば、ロシアのウクライナのやっていることを見て最初に気がつかないといけないことは、私は『早く原発を止めろ』だと思う」 「海外にもし日本を攻撃しようという国があったら核装備なんか要りません。日本の原発に一発、通常ミサイルを撃ち込めば、原爆を撃ち込んだのと同じことになるのではないですか。それなのに、こういうリアルなリスクについて(国会審議で)全然出てこない。むしろ、この機会に原発をもっともっと稼働させようというピント外れのことをやっている」(5月4日の京都街宣)

小泉元首相が新潟県知事選で再稼働反対候補に応援メッセージ

 そして原発政策での、参院選の構図も鮮明となっている。脱原発を促進しようとする立民・共産・社民・れいわと、原発再稼働しようとする自民・公明・維新・国民民主が激突するというものだ。  小泉元首相の警告と連動する形で、れいわ新選組の山本太郎代表は6月10日の会見で、拉致被害者家族連絡会の元事務局長で元東電社員の蓮池透氏を参院選比例代表で擁立することを発表した。原発廃止運動に取り組む蓮池氏は、「原発を最大限活用」と再稼働審査の迅速化も表明した岸田政権を批判、再稼働反対の考えも改めて訴えた。
山本太郎代表(左)と元東電社員の蓮池透・予定候補(れいわ全国比例)

山本太郎代表(左)と元東電社員の蓮池透・予定候補(れいわ全国比例)

 議員になる前から再稼働反対運動をしていた山本代表も、蓮池氏と同じく筋金入りの脱原発派といえる。「新潟県知事選(5月29日投開票)」でも二人は、原発攻撃リスクを目の当たりにして出馬を決意した会社役員・片桐奈保美候補の応援演説を行った。ちなみに小泉元首相も4月10日、新潟で行われた東京電力「柏崎刈羽原発」(新潟県柏崎市刈羽村)の再稼働をテーマとした集会にパネリストとして参加、片桐氏への応援メッセージを送っていた。
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「原発ゼロに現実性はない」と訴える茂木幹事長
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