お金

「1万円札の絵」を描いてわかる子供の投資センスとは? お金の授業の現場から

お金の話をタブー視してきた日本

 2022年4月から、文部科学省が出した新しい指導要項にならい、高校で「金融教育」がスタートしている。しかし、すでに社会に出ている私たちの多くは、きちんと金融を教わった経験がない。それがビハインドとならないためにも、金融教育が必要になった背景と、資産や投資の基礎を「超簡単」に学んでみよう。  日本ではこれまで、はっきりとした金融教育を行ってこなかった。それは「お金の話をタブー視」してきた文化だと語るのは、一般社団法人マネーリテラシー推進協会(以下、マネリテ)の代表理事を務める濱田智幸氏だ。 「高度経済成長期は、国が『貯金をしましょう』と呼びかけていました。積立をたくさんした学校に、大蔵大臣が表彰に行ったりしたこともあったみたいです。だから、昭和世代は、お金の話をせずに、コツコツと貯金をすることが美徳だと思っている人が多いですね。そこでまずは、お金のことについて向き合ってもらうことが重要だと思います」

中学校でのお金の授業は?

 そう話す濱田氏が代表理事を務める同協会は、高校での金融教育開始に先立って、東京都や千葉県の公立中学校で「お金の授業」というものをスタートさせている。その中で、お金に向き合ってもらうためにどんな授業を行なっているのか。 「まず、一万円札の絵を描いてもらいます。小さく描く子もいれば、紙いっぱいに描く子もいます。それで何がわかるのかと思われるかもしれませんが、ここから『お金の価値は変わるんだよ』という話をします。何十年も前に比べて物価が上がっていることはご存知だと思いますが、昔の一万円札の存在感は大きく描いた子の絵くらいありました。しかし、物価が上がっていくとそれがどんどん小さくなるということを理解してもらいます」  消費者物価指数からみると、昭和40年の1万円の価値は、令和3年の4.2万円に相当するという。物価から見れば上昇だが、これをお金の側から見ると価値が4分の1以下になっているということになる。
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なぜ金融教育が必要になったのか
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

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