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旧統一教会が韓国で“邪教扱いされない”ワケとは?「食品ビジネスの団体という認識」

本部がある韓国での知名度の低さ

韓鶴子 統一教会

韓鶴子総裁。国際合同結婚式の会場にて 撮影/日刊SPA!

 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、本国・韓国でなぜ社会問題化しないのか? 安倍晋三元首相の射殺事件以降、日本では教団に対する批判の声が日増しに強くなっている。しかし韓国で旧統一教会のことが報じられるケースは稀で、国民の関心も日本とはかなりの温度差があるようだ。こうした背景について、エンタメ系企業を経営し日韓問題に明るいオ・ジホ氏(仮名・49歳)は「安倍さんの件があったので韓国人も知るようになったけど、それ以前は統一教会なんて存在もろくに知られていなかった」と語り出した。 「無作為に道行く人に聞いたら、おそらく10人中5人くらいしか統一教会の名前を知らなかったんじゃないですかね。合同結婚式を知っているのなんて10人中3人。霊感商法が日本で叩かれていることを知っているのは10人中1人いるかどうかでしょう。韓国国内だと、統一教会は“悪徳カルト教団”というより“食品ビジネスに積極的な変わった宗教”というイメージが強いんです」

韓国では細々とした布教活動

 旧統一教会には高麗人参茶や炭酸ジュースを製造する一和(イルファ)という関連企業が存在する。教団の創始者・文鮮明の在命中は城南一和(現・城南FC)というプロのサッカーチームも所有していた。日本で旧統一教会の問題がここまで大きく報じられていることに、多くの韓国人は「なんで?」と首をひねっているのだという。 「韓国では長老派教会などのプロテスタントが非常に強くて、政界や財界にも影響力が大きい。日本と同様に韓国にもインチキ臭い新興宗教はたくさんあるんですけど、キリスト教系に関してはすぐさま社会問題化して潰されちゃうんですよ。問題になっているのは、むしろ占いとかに絡んだシャーマニズム系の新興宗教が多い。  たとえば統一教会って他のキリスト教団体と同様に聖書を扱うんですね。だけど聖書の解釈がデタラメで、文鮮明や韓鶴子を神様みたいに崇めるじゃないですか。生きている人間を神として扱うなんて、伝統派のクリスチャンからしたら言語道断。絶対に許せないわけです。それゆえ統一教会は大々的な布教活動ができないし、実際、信者数も減っている。モルモン教が韓国で全然広まらないのも同じような理由ですね」  侵略戦争を行った罪深いエバ国家・日本は、アダム国家・韓国に尽くさなくてはいけない──。このような旧統一教会の教えは、一連の報道によってよく知られるようになった。だからこそ、日本人ばかりが霊感商法や高額献金の餌食になっているというわけだ。  ちなみに韓国国内における旧統一教会の献金実態は、他のキリスト教組織とさほど変わらないとされる。つまり給料の10分の1程度が目安で、それも強制ではなく自発的に行われるのが通例だという。オ氏もこうした事実を認めつつ、日韓におけるキリスト教の社会的影響力の差にも踏み込んで言及する。 「もし統一教会が韓国国内で日本と同じように悪質な資金集めを進めたら、速攻で社会から抹殺されたはず。信者が伸び悩みつつもまだ存続しているのは、目立った動きができなかったからとも言えます。逆に韓国人からすると、なぜ統一教会が日本で反社会的なことばかりやっているのに許されてきたのか、そっちのほうが理解に苦しみますね」
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韓国でのヘイトスピーチが報道されないワケ
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