恋愛・結婚

「感情的に話すな」と相手を責める人が持つ“モラハラ気質”の正体

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自分の感情を優先させるために、相手を理詰めにしている人は少なくない

 DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。    コミュニティではさまざまな悩みが共有されるのですが、共通するものがたくさんあります。その1つが「自分は冷静に論理的に話しているのに、相手が感情的になってしまうので話し合いにならず困っています…」というものです。  今回はこのよくあるセリフの背景に迫りたいと思います。

「感情的に話さないでほしい」

 少なくない夫婦やカップルが「相手が感情的になってしまって困る」とか「理屈っぽくて嫌になる」ということを不満に思う時があります。  具体的な状況はさまざまですが、その1つの具体例は以下のような状況です。 A「じゃあ結局旅行は京都っていうことでいいかな?」 B「うーん、でもやっぱり京都じゃなくて北海道もいいなあって思うんだよね」 A「いやいや、その話は前もしたよね? 行きたいところの数は京都の方が多かったし、費用の面でも京都の方がお得だし」 B「そうなんだけど、やっぱり北海道もいいなと思って。それによく考えたらいま北海道にいる友達いるから一緒にご飯食べたりするのもいいかなって」 A「そういう話は前もってしてくれない? 色々話した時に言うならまだしも、今更そういうこと言われたら最初から考え直さなくちゃいけないよね?」 B「そうだけど、その時は忘れてたから仕方なくない?」

「急に変更を言われて、無意味になった」

A「前もこういうことあったよね。だから今回はちゃんと旅行先を決めるための条件を設定してそれぞれ意見出しをする時間を作ったのに無意味になった」 B「無意味とかそんな言い方する必要ないじゃん。わざとじゃないのに、傷つく言い方しないでほしい」 A「言葉遣いの問題じゃなくて、実際に無意味になったよね? 何時間もかけて話したのに、後から新しい条件を出してきたんだから。無意味になったかどうかでいうと無意味になったってことでしょ」 B「どうせ自分が京都に行きたいからってだけでしょ? もう話したくない、旅行も行かなくていい」 A「いやいや、なんのためにあれだけ話したと思ってんの。休みもとったんだし、それこそ全部無駄になるでしょ」  以下略。  こんな調子で喧嘩のような雰囲気になり、冒頭の「自分は冷静に論理的に話しているのに、相手が感情的になってしまうので話し合いにならず困っています……」と悩むのです。  みなさんは上記のような会話を見てどう思うでしょうか。 「確かに事前に話していたのに後出しで違う条件が出てくると面倒だよね」という人もいれば、 「その時その時でいろんな理由が出てくるものなんだし、細かいことをいちいち言ってきて面倒だな」と思う人もいるでしょう。 「無意味という強い言葉を使った時点で話す気がなくなる」という人もいるでしょうし、 「旅行も行かなくていい、まで言うのはちょっと子どもっぽい」と感じる人もいるでしょう。  さまざまな人がいると思います。どちらかに問題を感じる人もいれば、両方に感じる人もいれば、どちらにも感じない人もいるかもしれません。  その上で、あくまで僕は「大切な人をもう傷つけたくない、変わりたいと願う加害者」の悩み相談に答えるという意味で、今回の会話はケアの関わりに変えることができると思います。
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相手の意見が変わることは「感情的」なことなのか
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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