恋愛・結婚

子供の塾を勝手に決めてきたパートナーへの怒り。しかし「相談できない状態」を作ったのは自分だった

 DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。コミュニティではさまざまなグチや悩みなども共有されるのですが、共通するものがたくさんあります。

「大事なこと」を勝手に決めたパートナーに怒り

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なぜ相談してくれなかったのか……怒りに震える相談者が直面した意外な事実とは/写真はイメージです

「今回のケンカのきっかけは、パートナーが子どもの塾のことを勝手に決めてきたことでした。『大事なことは一緒に決めよう』って約束しているのに、事前に何の相談も断りもないなんて……ひどいと思いませんか?」(Aさん)  今回はこのセリフの背景に迫りたいと思います。  パートナーとの関係の危機を迎え、GADHAに参加することを決意したAさん。最初は、自分の行為がモラハラだとは夢にも思わなかったそうです。それでも、当事者会に参加したり、Slackの書き込みを読み漁っていくうちに、自分の認識のズレや甘さに気づかされたと言います。  それ以降、Aさんは、パートナーとのコミュニケーションに心を砕いてきたので、余計に今回のことがショックだったようです。 「パートナーが『大事なこと』を勝手に決めてきたのは、これが初めてのことではないんです。その度に『大事なことは一緒に決めたい』『事前に相談してほしい』って、こちらのニーズをパートナーには何度も伝えているんですよ!それなのにあんまりじゃないですか」

Aさんのパートナーは、当初からそのような身勝手な人だったのか?

  Aさんは、そんなふうに小さな怒りや悲しみを抱えて、最後にはこう言いました。 「夫婦なんだから『助け合って一緒にやっていきたい』と自分は考えているんです。自分としては『事前に相談してほしい』だけなんですが、加害者にはそれすら高望みなのでしょうか……」  一見「加害者(Aさん)」が普通の人で、「被害者(パートナー)」の行動こそが加害なのではと思う人も多いでしょう。DV・モラハラを知らない人が素直に聞けばそう思うのも自然な内容です。  しかし、GADHAでは、加害者自身からは見えていない視点があるかもしれない、と想像しながら相手の話を聴きます。  そこで、僕はAさんに聞いてみました。 「Aさんのパートナーは、付き合っていた頃や結婚した当初から、Aさんに事前に相談や断りもなく何でも勝手に決めていくような人だったんですか?」  すると、Aさんは次のように答えてくれました。 「いいえ。明るくて話好きで、どちらかというとこちらの意見を尊重してくれているようなところがありました。お気に入りのアニメの話とか、むしろ、自分にとってはどうでもいいようなことまでよく話してくれました。残念ながら、何が言いたいのか、自分にはよくわからないことも多かったので、『整理してから話をしてほしい』と言ったことも、一度や二度ではありません」  Aさんは続けます。 「せっかく話をする時間を取るなら、お互いのためにも、ちゃんと言語化してほしいんですよね……」
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「相談してほしい」と言いながら、一方的に相手に負担をかけていたAさん
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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