「日本人は賃上げを要求できない」残酷な現実。現役金融マンが苦言
note作家の猫山課長と申します。金融機関で課長をしながら、ネットでは働き方やキャリアに関する執筆活動を行い、ありがたいことにSNSなどで多くの反響をいただいています。
今回のテーマは「賃上げ」です。物価上昇が進むなかで、日本人の賃金上昇に対する欲求がどんどん高まっているように感じます。諸外国と比較しての「安すぎる日本人論」などは、その象徴でしょう。
ただ、一つ疑問があります。我々は果たして、賃金を上げるのにふさわしい存在になれているのでしょうか?
2022年10月20日の東京市場でドル円レートが32年ぶりに150円台に乗せるなど、円安が進んでいます。ニュースでは物価の上昇が日々叫ばれ、いよいよ本格的なインフレの足音が聞こえてきたようです。
物価が上昇するなら、賃金も上がってくれないと生活は苦しくなるばかりです。これから賃上げを要求する声はどんどん大きくなっていくでしょう。
2022年10月18日に自由民主党政務調査会は「新たな総合経済対策に向けた提言」と題したレポートを発表しました。そのなかでは「構造的な賃上げと成長のための投資・改革の実現」が謳われ、次のような記述があります。
「今年の春闘ではこの20年間で2番目に高い水準の賃上げ率となり、最低賃金も過去最大の改定幅となった。こうした流れを継続し、一日も早く持続的な成長と分配の好循環の実現につながるよう構造的な賃上げを実現していくことが重要である」
春闘の賃上げ率と最低賃金の改定幅を一つの成果にしていますが、それによって実際に生活が楽になった実感はありません。それらの達成は強烈な円安の前ではほとんど無意味なようにさえ見えます。
「もっと上げてくれないと実質的な減収になってしまう。教育費や住宅ローンの返済や老後資金の積立もままならない。善良な会社員を破綻させる気か!」
そう叫びたくなる気持ちもわかります。特に住宅ローンにおいては、金融機関に勤務する私からみても過剰な借入をする人が多いと感じています。少しの減収で返済がかなりキツくなりそうで心配です。
ただその一方で、素朴な疑問が湧いてきます。我々は、賃上げに値するのでしょうか? 実は、相当に厚かましい要求をしているのかもしれません。
強烈な円安による「賃上げ要求」の過熱
賃上げを要求する権利はあるのか?という疑問
金融機関勤務の現役課長、46歳。本業に勤しみながら「半径5mの見え方を変えるnote作家」として執筆活動を行い、SNSで人気に。所属先金融機関では社員初の副業許可をとりつけ、不動産投資の会社も経営している。noteの投稿以外に音声プラットフォーム「voicy」でも配信を開始。初著書『銀行マンの凄すぎる掟 ―クソ環境サバイバル術』が発売中。Xアカウント (@nekoyamamanager)
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