腕時計投資家の斉藤由貴生です。 　私は腕時計投資家を名乗るだけあって、これから「価値」が上がりそうな腕時計を見抜くのが得意なのですが、今回は、買わなくて後悔した腕時計をご紹介したいと思います。 　2002年ノーチラスをに約90万円で購入したなど、これまで、自身の成功事例を紹介している私でありますが、今回お伝えするのは、「買わなくて後悔した」という失敗事例であります。 　ロレックスの型番には、文字盤色を示す情報が含まれていないのですが、それはなぜかというと、文字盤交換ができるからだといえます。 　例えば、ステンレスのモデルに「白文字盤」と「黒文字盤」があったとすると、「黒文字盤を買った後に、気分転換で白文字盤に交換する」ということが可能であるわけです。 　そういった文字盤交換の自由度は高く、デイデイトなど多種多様な文字盤ラインナップがあるモデルでは、その恩恵を受けることができたといえます。 　特に、デイデイトには、オニキス文字盤といった特殊な文字盤が存在。通常の文字盤では、インデックスがあるのに対し、オニキス文字盤にはそれがないなど、ひと目見ただけでスペシャルなモデルということが分かる見た目となっています。 　そして、オニキス文字盤を採用したデイデイトの中古相場は、5年前の段階から高く、同じ型番でも、通常の文字盤となっているモデルよりも数十万高という状態が珍しくありませんでした。 　単に“儲け”だけを狙うのであれば、その相場差に注目して、「普通のデイデイトを買って、オニキス文字盤に交換して即売却」ということをすれば儲かったかもしれません。しかし、私はあくまで、自分がつける腕時計として楽しみたいため、どのデイデイトでも良いというわけではありませんでした。 　私は、このオニキス文字盤を搭載したデイデイトとして、最も「意外性が魅力的」だと思ったのが、118208（3連ブレス）だったのですが、これは「スムースベゼルに3連ブレス」というデイデイトらしくないといえる存在。特に、3連ブレスレットはこの世代にしか採用事例がないといえるため、これとオニキス文字盤の組み合わせは最高だと思ったのです。 　実際、当時の中古相場を見ても、「118208のオニキス文字盤」は、どの国にも売っていなかったわけで、私は「この組み合わせが欲しい！」と思ったわけです。 　118208のオニキス文字盤は、どこにも売られていなかったわけですが、どうやって入手するのかというと、適当な文字盤の118208を購入して、購入後にオニキス文字盤に交換すれば良かったのです。ただ、YGのデイデイトにオニキス文字盤があるからといって、118208をオニキス文字盤仕様にできるかは分かりません。 　そこで、私は日本ロレックスに電話。「118208はオニキス文字盤に交換することができるのか？」という質問をしたところ、答えは「OK」でした。費用としては、通常のオニキス文字盤が15万円、2つのダイヤ入りだと30万円と、思ったよりも高くありませんでした。 　私が、118208を買おうと思っていたのは2018年の年末でしたが、当時の118208相場は160万円程度。オニキス文字盤に交換したとしても200万円以内といった予算で完結したわけです。 　だから、当時の私は118208を買う気満々だったのですが、そんなとき、同じぐらいの予算で他の腕時計を発見。そちらのほうが、中古で購入できる機会が珍しかったため、当時の私は118208ではなく、他の腕時計を買うことにしたのです。 　ただ、ほかの腕時計を買ったからといって、118208は絶対に買えないというわけではありませんでした。無理すれば買えたのですが、私はストイックに「良い腕時計を1つ買ったのだから、2本目は我慢」などと自分に言い聞かせ、デイデイトの118208を買うことはしませんでした。