“とんでも新入社員”予備軍を未然に察知する。SNS「裏アカ」調査の実態
これから新入社員が入社、新卒採用シーズンを迎えるなかで近年、企業のコンプラ意識の高まりなどを背景に注目を集めているSNSの「裏アカ」調査。特に直近の外食産業を中心に大きな波紋を呼んでいる“迷惑動画”の件もあり、人材を採用する企業側も採用候補者の人間性やネットリテラシーについて、よりセンシティブにならざるを得ない状況だ。
企業やブランドの信用を毀損させたり、機密情報を漏洩してしまったり……。SNSにはリスクも伴うなかで“コンプラ遵守”が以前にも増して求められている。ガラス張りの時代とも言われるSNS全盛の採用活動において、人事担当が「採用候補者の裏アカを把握し、事前に素性を掴んでおく」ことの重要性が高まっているのだ。
企業における裏アカ調査の需要が高まり、企業も人材採用に慎重にならざるを得ない状況になっているのは、日本特有の「雇用者を守る」ための法律や慣習の影響が大きいという。
「前提として日本の企業は、一度採用したら基本的に退職の申し出や著しい問題が浮上しない限り、雇用を守り続けます。もし入社後に、周りの従業員に悪影響を与えるような性格だったり、過去の犯罪歴が見つかったりした場合でも、そう簡単には辞めさせられないように法律上ではなっているんです。
そういうのを未然に防ぐ意味でも、裏アカの投稿内容から、採用候補者の内面に見え隠れする素顔を知っておきたいというニーズが高まっていて、Sトクを活用いただく企業が増えているんですね」(角田さん、以下同)
年間で約6,000件の依頼があるというSトクだが、とりわけ多い業界がIT関連の企業だと角田さんは話す。
「事業としてネットリテラシーが重要視される業種でもあるので、採用候補者の人柄やカルチャーフィットしているかどうかを見ておきたいというニーズから、IT系の企業からオファーいただくケースが多い状況です」
そんななか、採用前にSNSチェックを行う段階で、過去の調査では衝撃的な投稿が見つかったケースもあるという。
「一部を紹介すると、ストレスを多く抱え、メンタルが病んでいる人の投稿は衝撃的でした。リストカットの投稿が何度も繰り返され、なかには自殺を図ろうとドアにロープを垂らした画像を投稿している人もいました。
また、これは新卒採用ではありませんが、学校の教師が『エロアカ』を持っていることが、調べていくとわかったこともあります。過去の問題発言や犯罪を犯した事実などが浮かび上がれば、雇用するにはリスクがつきまといますし、それが採用の前段階でわかれば、人事担当も採用するか否かの判断軸になるわけです」
裏アカウント特定サービス「Sトク」を運営する株式会社 企業調査センターの角田博さんに、裏アカ調査での実例エピソードや現地での聞き込み調査について話を伺った。
IT企業は「裏アカ調査」で採用候補者のネットリテラシーを重要視
過去の裏アカ調査で見つかった衝撃の投稿
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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