侍ジャパンに潜む「3つの不安要素」。勝利の鍵を握る指揮官の心中は
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場している侍ジャパンは、1次ラウンドを4戦全勝で通過して準々決勝進出を決めた。ここから決勝戦までは全てトーナメントの一発勝負、“負けたら終わり”の戦いになる。1次ラウンドの戦いを総括しながら準々決勝の戦いを展望していきたい。
初戦の序盤こそ苦しんだものの、打線は4試合で38得点と調子はいい。
なかでも、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)、近藤健介(ソフトバンク)、大谷翔平(エンゼルス)の1、2、3番トリオが機能している。ヌートバーの出塁から近藤が繋いで、大谷で得点を挙げる。第4戦のオーストラリア戦では、初回に電光石火の攻撃で3点を先取した。下位打線が作ったチャンスからも得点を挙げるなど、この3人が打線を牽引しているのは間違いない。
4番の村上宗隆(ヤクルト)はイマイチ本領発揮できていないが、5番の吉田正尚(レッドソックス)の調子がいいのも大きい。吉田は長打を広角に打てるし、状況に応じたバッティングができるのが特徴だ。第2戦の韓国や第3戦のチェコは守備陣形を大きくシフトするなど吉田のヒットゾーンを狭めてきたが、それでもうまく野手の間に落とす当たりを見せて、チームトップタイの8打点を挙げている。
投手陣も好調だ。第1戦目から大谷、ダルビッシュ有(パドレス)、佐々木朗希(ロッテ)、山本由伸(オリックス)が先発。しっかりゲームメークをして、次にバトンを繋いでいる。
球数制限などもあり、第2先発(先発投手を2枚並べる継投)制度を導入しているが、こちらも戸郷翔征(巨人)、今永昇太(DeNA)、高橋奎二(ヤクルト)らが付け入る隙を与えないピッチングを披露。相手に反撃の糸口すら掴ませなかった。
試合を追うごとに成長が見られる
相手に反撃の糸口すら掴ませない
新聞社勤務を経て、2003年にフリージャーナリストとして活動開始。『Number』(文藝春秋)、『slugger』(日本スポーツ企画)などの紙媒体のほか、WEBでも連載を持ち、甲子園大会は21年連続、日本シリーズは6年連続、WBCは3大会連続で取材している。2018年8月に上梓した「甲子園という病」(新潮新書)が話題に。2019年には「メジャーをかなえた雄星ノート」(文藝春秋)の構成を担当。
Twitter:@daikon_no_ken
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ