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「経費精算の時間が3倍かかる」インボイス制度にサラリーマンからも悲鳴。経理やSEは残業続きで地獄絵図

 直前に首相官邸前で行われた反対集会には1000人が参加するなど、大波乱のなかで10月1日にスタートしたインボイス制度。  当初、「会社員には関係ない」と思われた同制度だが、蓋を開けてみれば大違い。業務の増加や収入減など大きな影響を受けている。現場ではいったい、何が起きているのか!?

経理や残業でパンク状態!副業リーマンも続々廃業へ

『地獄のインボイス制度狂騒曲』』図

生産者がインボイス登録していない場合、飲食店は制度開始前に比べ400円、納税額が高くなってしまう。これを避けるため、発注者(ここでは飲食店)は未登録の取引先(生産者)との取引を打ち切ったり、高くなった分を取引先に負担させようとする(値引き要求)動きが出てくることが指摘されている

 インボイス制度が10月1日からとうとう始まった。反対署名は53万人(9月27日現在)に達し、各地で反対集会が開かれた。フリーランスや自営業者から猛反対を受けていたことは周知の通り。  読者のなかには「サラリーマンには関係ないでしょ」と対岸の火事と受け止めている人は多いだろう。だが、涼しい顔もしていられない。 「経理担当者の場合、請求書処理の際、適格請求書発行事業者登録番号の有無の確認作業が増えるため、時間管理が尚、必要になるでしょう」  こう話すのは、経理に詳しいビジネス書作家の田村夕美子氏だ。では、いったい現場では何が起きているのか。

会社員たちからは不満の声が絶えない

『地獄のインボイス制度狂騒曲』』うなだれる男性

写真はイメージです。大企業の経理やシステム部門では、インボイスによる残業増が問題になっている。一時的な業務増加で済むか?

「ウチは社員10人の零細なんですが、9月に勤続20年以上のベテランの経理の女性が辞めちゃいました。物価高なのに給与は据え置き。にもかかわらずインボイスのせいで夏以降、ほぼ毎日残業していましたからね。とうとうブチキレたようです」(都内の建設業の社員) 「インボイス対応に伴う経理システム入れ替えで、もう地獄ですよ。客もパニックになってて、経理部門はその対応で残業続き。社内SEも9月の土日はすべて休日出勤です。直前の土日は朝8時から深夜0時まで働いていました」(大手製造業の社員)  経理やSEだけではない。営業マンにも影響は甚大だ。 「社内講習会が何度もあったけど、すごく手間が増えそうで腹が立ちます。新幹線代も立て替えNGになって事前申請が必須に。タクシーも飲食店もインボイス登録していないところは使用不可になったんですが、どうやって見分けろというのか。毎月の経費精算も確実に3倍以上の時間がかかりそうです。著しく生産性が低下しますよ」(大手デベロッパーの社員)
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接待の会食場所はどこでも良いわけではなくなる!?
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