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大学の“推薦重視”は「お金持ち優遇のシステムだ」貧困東大生が苦言

ペーパーテストの軽視、ホントにいいの?

東大 みなさんは、大学受験というと、どんなイメージを持ちますか? ご自身が受験された方なら、特に勉強ばかりして苦しんで入った思い出がある人もいらっしゃるでしょう。    これまでの大学受験の本道は、ペーパーテスト、いわゆる一般入試受験でした。ですが、2023年現在では、面接によって合否を決める推薦入試の比率が50%を超えるなど、ペーパーテスト型はむしろマイノリティになってきています。  今の大学受験は、確実に富裕層有利に傾いています。AO推薦型入試は、明らかにお金持ちを優遇した受験システムです。なぜならば、AO推薦型入試で求められる「人と違う体験」や「英語を使う能力」は、明らかに富裕層の子どもたちのほうが得る機会が多いであろうからです。  先日、10月20日に「今の大学受験がAO推薦へ傾いている」として、ABEMA Primeに出演する機会がありました。私は、「貧乏な境遇から受験によって自身のキャリアを作り替えた」立場での出演でした。  今回は、こちらで述べた意見を交えつつ、ペーパーテストを軽視する風潮に疑問を提示していきます。

AO推薦入試が富裕層優遇といえる理由

 そもそも、AO推薦入試とは、面接や志望理由書を重視し、従来の学力検査よりも人柄やコミュニケーション能力を重視する入試を言います。もちろん東大のように学力検査を課す大学もありますが、そうでない大学も多数存在します。  人柄やコミュニケーション能力を測る際に、重視されるのが、個々人の研究テーマと、その経験です。どんな研究がしたいのか、なぜその研究をしたいと思っているのか、その原体験に何があったのかが問われます。  これだけ聞くと悪くない入試のように聞こえますが、富裕層優遇になっている現実があります。例えば、「貧困格差を是正したい」学生の原体験は、海外のスラムに行って、そこで暮らすストリートチルドレンの生活の惨状をみたから。もしくは、「生物を研究したい」学生の原体験は、小さなころから生き物が好きで、飼ってみたい生き物を片っ端から買って、時には海外から輸入して世話したのかもしれません。  これらは、「海外で視察をして初めて分かった衝撃」を元に、自身の研究テーマを話したり、「生物を無制限に輸入できたから広がった興味」を話したりすることで、アピールになります。このように「お金があったからできた原体験」を理由として、自身の研究テーマを見つけている人ばかりなのが、AO推薦入試なのです。  ここに、貧乏人の付け入る隙はありません。自身の持つ素朴な原体験を話しても、周囲のド派手でダイナミックな原体験に押し流されてしまう。実際に、僕が推薦入学者にインタビューしたところ、「いかに手間を惜しまず自分がマイノリティになるかがコツである」と言われました。いかに親の資金力を生かしてほかの人と違う体験をするかがカギ。それが今の推薦入試の現状です。
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推薦入試を重視する“大学側の事情”
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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