“苦戦”ホンダと“好調”マツダ…「好決算に沸く自動車メーカー」利益見通しで分かれた明暗
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
各自動車メーカーが凄まじい好決算を連発しました。2024年3月期のトヨタの営業利益は前期の2倍となる5兆3529億円。ホンダは1.7倍の1兆3819億円でした。各社ともに2桁増収、2桁営業増益となっています。
ただし、2025年3月期は各社ともにトーンダウンする見込みです。今期は真価が試されるタイミングとなるでしょう。
トヨタは営業利益が初めて5兆円を超えました。これは日本企業初の快挙。世間はコストプッシュ型のインフレで不景気に似た暗い空気が漂っていますが、自動車メーカーはバブルとも言える好決算に沸いているのです。
ホンダは営業利益が初の1兆円を超えました。日産はコロナ禍で2期連続の営業赤字に陥っていましたが、V字回復を成し遂げて営業利益率は4%台まで回復しています。
スズキは営業利益が1.3倍、マツダとSUBARUが1.8倍近い営業増益となりました。
しかし、これがバブルとも言うべき儚いものであることも事実。増益要因として、円安が深く関係しているためです。
2024年3月期のトヨタの営業利益は、2兆6279億円の増額。そのうちのおよそ3割に相当する6850億円が円安による押し上げ効果なのです。ホンダも営業利益は6012億円の増加となっていますが、およそ3割の1511億円が為替の影響です。
日米の金利差を背景とした急速な円安進行により、海外収入の比率が高い自動車メーカーは大いに恩恵を受けることができました。
2024年は円安が過度に進行することはなく、落ち着きを取り戻しています。従って、今期(2025年3月期))は為替による大幅な増益には期待ができません。
トヨタは営業利益を前期の2割減となる4兆3000億円と予想。ホンダは2.7%の営業増益を予想していますが、0.6%の減収見込みを出しました。
一方、力強く伸びる見込みなのがマツダ。営業利益は7.7%の増加。各社売上高が停滞するなかで、10.8%の増収を予想しています。
好決算に沸くも、円安バブルが弾けると…
各社が控えめに見込むなか、マツダだけ2ケタ増収予想
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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