8割の顧客を黒字化する税理士が実践している「数字に強くなる6つの習慣」
社会人になると「会社の数字に強くなれ」「簿記くらいできないといけない」と言われることも増えてくる。ところが、会社の財務諸表を読もうと思っても、膨大な数字と専門用語ばかり……。「そもそも学生のころから数学が苦手だった」なんて人も多いかもしれない。
このような「簿記や会計は必須知識」という風潮に対し、「社会人だからといって、簿記や会計を勉強しなければいけない、と敷居を高くする必要はありません」と話すのは、『Deep Accounting 「未来予測会計」の数字が経営に革命をもたらす!』などの著書を持ち、税理士法人SHIPを経営する税理士の鈴木克欣さんだ。
「いきなり最初から会計の専門書や解説書を勉強したり、小難しい専門知識をつけたりする必要はありません。会社に関する数字は、感覚的に把握できていればまずは合格です。
そのために心がけていただきたいのが、数字と仲良くなる、つまり会社の数字と接する頻度を上げることです。
たとえば飲食店であれば、客単価はどれくらいが目標か、1日の客数はどれくらいが目標か、新規顧客をつかまえるためにどんなことをしているか。まずは、こういった感覚的な数字の把握ができるようになるといいでしょう」
日本の企業のうち黒字経営をしているのは全体の約3割と言われるなか、税理士法人SHIPのクライアントは84%が黒字を叩き出しているという。どうやって数字に対する感覚を磨き、会社の業績を上げられるのか? 「数字に強くなる思考と習慣」を税理士・鈴木さんに聞いた。
「会社の数字をじっくり眺めるのは月に一度だけ、あるいは四半期ごとの決算時だけという経営者も少なくないと思います。それでは経営を安定させることも難しくなります。会社を大きく変革させるためにも、まずは『数字は毎日追うべきもの』という意識に変えてください。
最新の生きた数字を知り、毎日の変化に気づくために、はじめは1日10分でかまいません。小難しい会計の専門知識などは、この段階では必要ありません。本当に数字をただ眺めるだけで大丈夫です」(鈴木さん)
1日10分程度で会社が変わるのだろうか?
「企業活動の結果は、数字にはっきりと表れます。たとえば社会保険料が急激に増えていたり、サブスクの年間経費の請求がきていたり、毎日数字を追うことで、会社の小さな変化に気づくようになります。
そういった“生きた数字”をつかめば、わずかな変化を見逃さず迅速に改善策を打つことができるようになります」(鈴木さん)
1日10分、毎日会社の数字を見続けることから始めてみたい。
「たとえば、ダイエットで体重計に毎日乗っているだけで自然と体重が減っていく、という話を聞いたことはないでしょうか。その秘密は、体重を意識するようになったことで、太るような行動を自然と避けるようになるからです。
会社の経費を減らしたい場合にも、同じことが言えます。経費の詳細を毎日チェックすることで、無意識のうちにコスト削減の意識が芽生えるわけです。
毎日眺めていれば、不自然に増えた数字に対して自然と意識が向くようになるし、何より比較的大きな金額を占める経費を順番に見ていくことで、『なぜ◯◯が増えているのか?』『△△にこんなに使っていたっけ?』という気づきが出てきます」(鈴木さん)
経費の管理が不十分だと、たとえば「5年前から毎月支払っていて、今はまったく使っていないサブスクがそのまま放置されていた」なんてこともよくある。
「明らかに優先順位が低いのに経費トップ10にランクインしているような項目を発見した場合は、さっさとカットして経費のスリム化を図ってください。
経費の詳細な数字を見ていると、コスト意識が高まりコスト削減につながるだけでなく、『この勘定科目にはこういう経費が入っているんだ』と、会計の知識やスキルも身につけることができるようになるでしょう」(鈴木さん)
①1日10分! 毎日会社の数字を眺める
②経費トップ10をダイエットする
『Deep Accounting 「未来予測会計」の数字が経営に革命をもたらす!』 すべての企業人、会計人に向けた〝令和の会計〟新バイブル |
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