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「炭酸飲料が売れない」のに、黒字転換のコカ・コーラ。主力商品「綾鷹」と「ジョージア」にかかる期待

中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。 コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(以下コカ・コーラ ボトラーズ)の業績が急回復しています。記録的な猛暑が続いて清涼飲料水の消費が旺盛になりました。そこにインフレが加わって単価がアップ。業績を押し上げています。ただし、炭酸飲料の伸びは限定的。コーヒー、お茶系飲料での競争激化が予想できます。
コカ・コーラ

Tupungato – stock.adobe.com

2期連続の赤字から黒字転換

コカ・コーラ ボトラーズ 売上高 事業利益

コカ・コーラ ボトラーズ 売上高 事業利益 ※決算短信より筆者作成

コカ・コーラ ボトラーズは、2021年12月期に経常利益にあたる事業利益がマイナスに転落。2期連続の赤字となりました。これはコロナ禍で外食需要が減退したこと、大型イベントの自粛、テーマパークの営業制限などの影響を受けたもの。 2023年12月期は期首に50億円の事業損失を見込んでいました。しかし、結果的には20億円の事業利益で着地します。まさかの黒字転換を果たしました。 全国清涼飲料連合会によると、2023年の清涼飲料水の生産量は全体で2300万キロリットル(「清涼飲料水統計2024」)。前年比2.2%の増加でした。2022年は猛暑日が続いて清涼飲料水の生産量は前年比で6.8%も増加していました。2023年は更にそれを上回ったのです。

「年2回の価格改定効果」も奏功した

コカ・コーラ ボトラーズは需要増の大波に乗った上、2度にわたる価格改定を実施。消費量の減退を引き起こさずにソフトランディングさせました。 また、製造や物流のコスト低減策を進めており、経費のカットが黒字化に貢献しています。 2024年12月期上半期の売上高にあたる売上収益は、前期比1.8%増の4114億円、27億円の事業損失(前年同期間は67億円の損失)でした。コカ・コーラ ボトラーズは夏を迎える下期に業績が偏重する傾向があります。上期が赤字であっても、通期予想に対する目標は計画通りに通過。赤字幅を圧縮したことで、堅調に業績が回復していることを印象づけました。
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清涼飲料水の需要は膨らむも、「炭酸飲料が好調ではない」
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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