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高速道路を走行中、腹部に激痛が。「我慢できなくなった方が負け」という地獄のルールを設けた結果…

 旅行は非日常の体験の場だ。何気ない行為が想定外の出来事を生み、それが後の人生に影響を与えることも少なくはない。岸本純一さん(仮名・38才)も旅行中の偶然に身を任せた結果、忘れられない思い出を作った。  岸本さんは群馬の不動産会社で働く営業マンだ。休日でも内見の依頼などが入る多忙の職場で、入社してから長期の休みを何年もとっていなかったという。 「社員が十人ぐらいしかない小さな会社なんですが、めちゃくちゃ忙しくて。そのせいか新入社員も数ヶ月で辞めてしまうのが続いていて、休むのが難しかったんです。学生の頃から旅行は好きでした。でも、旅行に行ってきます、なんて言える空気感ではなくて」
渋滞

画像はイメージです

旅行先でヒッチハイクの青年と出会う

 入社して5年ほどだったころ、仕事に少し余裕が生まれてきた。8月に有給が使えるか打診したところ、すんなり許可が降りたのだ。この機会を逃すまいと、岸本さんは旅行に行くことに決めた。  目的地は千葉の房総。学生の頃にやっていたサーフィンをやろうと、その日ためにボードも新調した。 「楽しみでしたね。事前に計画をしっかり作って、行きたい飲食店のリストも作ったりして」  レンタカーで群馬から車で房総へ行き、思う存分にサーフィンを楽しんだ。連休最終日に思いつきで銚子市に寄り、それから群馬に戻ろうと車を走らせていた時だった。 「インターの入口付近ですかね、陽に焼けた若い男の子がボードを掲げて立っていたんです。ヒッチハイクだ、ってすぐにわかりました。段ボールに目的地を書いて、ほんとテレビで見るような感じで。そういう子を見たのは初めてですし、僕も旅行でテンションが上がっていたので彼を乗せたんです」

古びた食堂で食事をご馳走してあげたが…

 ヒッチハイクの青年は20歳の大学生で、智樹(仮名)と名乗った。Tシャツにブルージーンズ、そして小さなナイキのリュックサック。絵に描いたようなバックパッカーだった。夏休みを利用して国内中を旅行しているといい、今は大阪に向かっているとのこと。 「エネルギーに満ち溢れている感じがして羨ましく思えました。ヒッチハイクって男の夢みたいなところあるじゃないですか。でも、人見知りの僕には絶対にできないことなので」  岸本さんは初対面の青年にシンパシーと尊敬の念を覚え、できる限りのことをしてあげたいと思った。腹が減っているかと聞くと、減っています、と首を縦に振る。そこで岸本さんは彼に食事をご馳走してあげることに決めた。  近くにあった古びた食堂に入り、海鮮丼と刺身の盛り合わせを注文した。食堂はエアコンの効きが悪く、店内は生暖かい空気で満ちていた。それでも青年はヒッチハイク中にあった出来事を楽しそうに話し、ダラダラと1時間ほどかけて食事をした。どうやら、どうやらそれがいけなかったようだ。
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二人そろって腹痛に苦しめられることに
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