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「男同士が引っ張っているのは嫌」玉木雄一郎氏の発言を擁護する人々が見落としていること

玉木雄一郎氏の発言に波紋

玉木雄一郎

記者団の取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表 写真/産経新聞社

 衆院選で大躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表の発言が波紋を広げています。10月29日放送の『ひるおび』に出演した際、自民党と立憲民主党からラブコールを受けて玉木氏が両腕を引っ張られる様子を描いたイラストが示されると、「これ、嫌ですね。この、男同士が引っ張っているのは。気持ち悪い絵ですね、これ」と、冗談交じりに語ったのです。  さすがにこのご時世に、ちょっとワキが甘すぎやしないか。さぞかしネット上でも非難轟々か、と思いきやそうでもないようなのです。  Yahooニュースのコメントには、“言葉狩りが過ぎる”とか“玉木さんに他意はない。同性愛が生理的に無理だと感じる感性すら否定されるのはおかしい”と、玉木氏を擁護する意見が大半を占めていました。  自身が同性愛者だと公表している立憲民主党の石川大我参院議員は<仮に、女性2人から引っ張られていたらどうだろう? 『嬉しい悲鳴』などではないか? そう考えると、異性愛=良いこと、同性愛=気持ち悪い、との考えが透けて見える>と自身のXで指摘。  筆者も石川議員の見解の通りだと考えます。たとえ玉木氏に悪意がなかったとしても、むしろ悪意ではなく軽いジョークで同性愛を連想させる状況に落とし込んでユーモアを発揮したと考える発想そのものが、やはり時代遅れなのです。

「内心の自由」は言い訳にならない

 とはいえ、玉木氏にも当然内心の自由は認められています。よって、いち個人として今回のイラストを気持ち悪いと感じること自体は何も悪くありません。  しかしながら、日本はG7を構成する一国です。先進国として、性の選択の自由や多様性を認めるという立場にあります。そこで、将来的に首相になり得るポジションにまで上り詰めた政治家の発言として考えるなら、事情が変わってきます。  それでも、“なんでも欧米の価値観に迎合する必要はない”と思う人もいるかもしれません。たとえば、玉木氏がトランプ前大統領のようなポジションを目指しているのだとしたら、同性愛を茶化すような言動を取るのもわかります。それが支持層にアピールする、効果的なメッセージとなるからです。  しかし、それが玉木氏の目指すところなのでしょうか? 国民民主党の政策やPR動画からはそんな様子はうかがえません。むしろ、大平正芳元首相から連なる穏健保守を標榜する政治を目指すとの矜持を示しています。同性婚やジェンダーフリーに対して強硬な態度を取ってきた安倍晋三元首相的な“保守”とは明らかに異なる信念を持っている。実際、昨年5月26日には与党案を修正した「性多様性理解増進法案」を国民民主党として提出しています。  そうした政策に加えて、現役世代の共感を得た景気対策案によって、政権を任せられる勢力であると評価され今回の躍進があったのですね。  だから、今回の玉木氏のリアクションは、残念だったしうかつだったと言わざるを得ないのです。
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問題は「擁護の声」が大きいこと
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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