「松本人志VS文春」裁判記録に書かれていた“衝撃の事実”。松本氏側が提出した“異例すぎる証拠”も明らかに
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志氏(61)の性加害を報じた「週刊文春」の記事をめぐり、発行元の文藝春秋などに対して約5億5000万円の賠償を求めた裁判について、11月8日に松本氏側が「訴えの取下げ」を公表。今年1月の提訴から291日に及んだ裁判は、意外な幕引きとなった。
「事実無根なので闘いまーす」と表明した松本氏が、なぜ自ら闘いに終止符を打つに至ったのか。
そして、“松本人志裁判はなんだったのか”。筆者は、「訴えの取下げ」を公表後に裁判記録を閲覧して、核心に迫ろうとした。
11月8日、午後1時過ぎ。ネットニュースに、「松本人志さん 訴え取り下げへ」という見出しが躍った。
同日夕方、松本氏の訴訟代理人の田代政弘弁護士らは、連名で「松本人志氏と㈱文藝春秋らとの間における訴訟に関するお知らせ」と題したコメントを法律事務所の公式HPに掲載。同様に、被告の文藝春秋社もコメントを「文春オンライン」に掲載した。
田代弁護士らはコメントで、次のように発表した。
「松本人志は裁判を進めるなかで、関係者と協議等を続けてまいりましたが、松本が訴えている内容等に関し、強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました。そのうえで、裁判を進めることで、これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をお掛けすることは避けたいと考え、訴えを取り下げることといたしました」
続けて、「松本において、かつて女性らが参加する会合に出席しておりました。参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」と謝意を表した。
松本氏は、「週刊文春」による性加害報道で名誉が毀損されたとして、損害賠償請求と謝罪記事の掲載を求めて、今年1月22日に東京地裁(高木勝己裁判長)へ提訴。請求額は、5億5205万円。裁判終結まで4・5年の長期間を要すると予想されたが、提訴から291日にして“呆気ない”結末となった。
法律上、「訴えの取下げ」は、双方の同意を必要とする。それゆえ、被告の文春側も「訴えの取下げ」に同意したということになる。
仮に、文春側が白黒を判決でハッキリさせたいとして同意しなければ、裁判は継続される。そして、松本氏側が立証に失敗した場合には「敗訴」となってしまうのだ。それだけはどうしても避けたい、松本氏側はそう考えたのだろう。
実際に、今回の発表されたコメントは、松本氏側が9行に対して、文春側は4行と短い。「訴えの取下げ」について文春側は、「女性らと協議のうえ、被告として取下げに同意することにしました」と週刊文春編集長のコメントだけだった。
松本氏側のコメントについて、X(旧Twitter)では「松本さん側が白旗をあげたように読み取れる」との投稿が散見された。このまま争っていても勝ち目がないのならば、判決で「性加害」の可能性が言及される前に、裁判を終わらせたい。むやみに、松本氏の活動休止期間を長引かせないためにも、立証手段として有効な証拠がない以上は、「訴えの取下げ」は最善の方法なのかもしれない。
名実ともに芸能界の頂点に君臨している松本氏。そんな人物が活動を休止してまで邁進した今回の裁判は、一体なんだったのか。筆者は、松本氏側の「訴えの取下げ」の核心に迫るべく、11月13日に裁判記録を閲覧した。
これまで多数の裁判記録を閲覧してきた筆者は、裁判記録の綴りの厚さを見て、「5億円の裁判にしては薄い」と感じた。表紙から数ページ開いていくと、11月8日付けで松本氏側の「取下書」と、文春側の「同意書」があった。
「頭書事件につき、原告は、都合により、被告らに対する訴えの全部を取り下げます」(「取下書」(2024年11月8日付け))
「頭書事件につき、被告らは、原告の訴え取下げに同意します」(「同意書」(同日付け))
「原告は、都合により」、詳しい理由は記載されていない。ただ、裁判記録をめくっていくと、松本氏側が自ら終止符を打った理由が見えてきた。
「訴え取下げの理由」を弁護士がコメント
訴えの取り下げは「最善の策」との見方も
裁判記録から紐解く“松本人志裁判の全貌”
2002年生まれ、都内某私立大に在籍中の現役学生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴にハマり、傍聴歴6年、傍聴総数900件以上。有名事件から万引き事件、民事裁判など幅広く傍聴する雑食系マニア。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行っている。
記事一覧へ
X(旧ツイッター):@Gakuse_Bocho
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ