更新日:2012年06月24日 16:14
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法をすり抜け国内に入る危険なダイエット薬

「ダイエット薬だと思って飲み続けたら、シャブ中になった」……一体何を言っているのかわからないが、そのとおりなのである。タイ製ダイエット薬を服用して覚醒剤中毒に酷似した症状に苦しむ人が増えている。6月から施行された新薬事法で脱法ドラッグが一斉規制される裏で、もう一つの恐ろしい事例が野放しになっているのだ。 ◆現行法では手出しのできないグレーゾーン。危険性啓発が肝要
ダイエット薬,個人輸入

※画像はイメージです

「ダイエット目的の女性心理につけ込み、『合法』と称して、危険な薬の個人輸入を勧める商法は、狡猾と言わざるをえない」  各種薬物事件に詳しい小森榮弁護士は語る。 「いわゆるダイエット薬に使われる成分の多くは危険な副作用も持っているため、厳格に管理されています。例えばマジンドールは、覚醒剤類似作用に加えさまざまな副作用があるため、向精神薬に指定されており、医師の処方を受けて使用しなければなりません。ところがタイ製ダイエット薬は成分や作用が未知数なものを、消費者が自己判断で入手・服用しているのが一番の問題です」  麻薬、向精神薬、指定薬物などいわゆる規制薬物の輸入は違法で、消費者が自分で服用する目的で輸入した場合であっても、例外ではない。しかし、規制薬物にあたらない成分については、自己使用の目的で消費者個人が輸入することは規制されていない。そのため個人輸入の代行業者は、「個人の注文行為の手伝いをしているだけで、在庫を抱えた販売行為はしていないため違法性なし」というロジックでネット上に蔓延している。  ネット上ではある程度、ダイエット薬の被害情報がシェアされているものの、「危険性について一般論としては納得するが『自分に限っては大丈夫』と思って服用する人が大半」だという。被害を食い止めるにはどうすれば? 「現行法で取り締まることが困難である以上、より一層危険性を啓発していくしかありません。厚労省のHPで注意喚起されている程度では、まだまだ不十分。ただ、声高に危険を叫び、消費者を威嚇するだけでは効果がありません。消費者のニーズに応えながら、彼らの健康な選択眼をサポートするような情報提供のあり方を模索していくべきでしょう」 【小森 榮氏】 弁護士。薬物事件を専門とし、薬物乱用防止のための啓発活動を精力的に行う。近著に『もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術』(現代人文社刊) 取材・文/SPA!薬物問題研究班 取材協力/「粉屋」http://conaya.jp/ ― 被害急増![覚醒剤入りダイエット薬]の恐怖【3】 ―
もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術

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