容疑者の職業に「自称」をつける/つけないはどう決まる?
「むしゃくしゃしてやった」「ムラムラしてやった」など、事件報道には日常ではあまり使わない特有のフレーズがある。ほかにも「バールのようなもの」とか「みだらな行為」とか、気になる言い回しがいろいろ。そんな事件報道における定番用語のナゾに迫る!
◆「自称アルバイト」など、職業に「自称」をつける場合とつけない場合の違いは?
全国紙の地方支局勤務の記者A氏いわく「警察は容疑者について、本人の供述のみで発表しているわけではない。免許証で住所や氏名を確認したり、勤務先に問い合わせたりして、ウラを取ります」とのこと。要するに、その時点で就業の有無や仕事の実態を確認できていない場合、職業には自称がつくわけだ。
「逮捕が深夜で勤務先に確認が取れず、最初の発表では自称がついていたとしても、一般的にはウラが取れた段階で“自称”は外されます。ただ、占い師のように実態がよくわからない職業の場合はずっと自称がついたままだったりしますが。一方、有名企業などの社員が、会社に知られたくないからあえて『無職』などと言うこともあるようです」(全国紙で社会部経験の長い記者B氏)
また、主に被疑者の取り調べを担当していた元刑事の小川泰平氏は「自称をつけるのは、その職業に偏見を持たれないようにするための配慮という側面もある」と指摘する。
「その職業でちゃんとしている人もいるわけだから、少なくとも容疑者の仕事がちゃんと確認できるまでは、余計な風評が立たないように……ということです」
つか、オレが捕まったら確実に“自称フリーライター”だろうな。
― 事件報道の[ありがち用語]ウラ読み辞典【5】 ―
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