更新日:2011年10月21日 15:32
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「雷様がヘソを取りに来る」には教育的な意味がある

◆古くから伝わる夏の風物詩的迷信  通り雨や台風の多いこの時期、「雷が鳴ると雷様がヘソを取りに来る」と親から言われた経験のある人は多いと思うが、実はこの迷信、教育的な意味があるのだという。 「ヘソを隠すときは姿勢が前かがみになり、頭の位置が低くなります。雷はより高いところに落ちる性質がありますから、ヘソを隠せば、雷に打たれる確率が減るんですよ。また、雷が落ちるときは気温も下がります。そのため、おなかの回りを覆うことで冷えをカバーする……という意味もあったんでしょうね。欧米のようなストレートな物言いを避ける日本では、教訓の隠された迷信を、躾のために使う文化が昔からあったんですよ。子泣きじじいや油すましなど妖怪にも子供の躾や教育に利用される“教訓妖怪”というジャンルがあるくらいですから」(オカルト研究家・山口敏太郎氏) また、「夜中に火遊びをするとおねしょをする」「夜中に爪を切ると親の死に目に会えない」「夜中に口笛を吹くと泥棒が来る」といった夜中にまつわる迷信も、夜更かしをしがちなこの時期に多く使われるもの。これらの迷信にも江戸時代の教訓が隠されているのだとか。 「火遊びの迷信は、『火災都市』と呼ばれるほど火事が頻発していた江戸で、火の用心の意識を子供たちに根付かせるために、使われたものでしょう。爪の迷信に関しては、江戸時代の夜は行灯しか明かりがなかったため、その暗い中で爪を切ると深爪をしてしまうから……という配慮から生まれたという説が有力です。夜の口笛については、泥棒以外にも幽霊や蛇を呼ぶという迷信もあります。これは夜に大きな音を出すと近所迷惑、というのが大きな理由でしょう。狭い地域に大勢の人が暮らしていた江戸で、『粋』な方法で暮らしのマナーを教えるために、このような迷信が使われたんでしょうね」 ― 真夏の[都市伝説]を科学する【11】 ―
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