更新日:2014年01月21日 15:09

アベノミクスは参院選前に試練

◆マネーな人々 今週の銭格言 【選者】政治経済学者 植草一秀氏 金融緩和政策の強化と大型補正予算の編成を柱とするアベノミクスは今のところ、功を奏し、2/4の更新(https://nikkan-spa.jp/378650)で指摘した日経平均1万6000円も手に届く範囲に迫ってきた。だが、ここにきて金利上昇のリスクが浮上している ◆株価急騰で飛ぶ鳥を落とす勢いの安倍政権を襲う予想外の金利上昇リスク【後編】⇒【前編】はこちら  新たに日銀総裁に起用された黒田東彦氏は4月3、4日の日銀政策決定会合で政策デビュー。「バズーカ砲」ともてはやされるほどの金融緩和策を打ち出した。  ところが、ここを境に日本の長期金利が上昇し始めたのである。0.43%にまで低下した10年国債利回りが、5月15日時点で0.87%に跳ね上がっている。1か月強で、金利は2倍の水準に跳ね上がったわけだ。  アベノミクスのシナリオは、金融緩和が金利低下を引き起こす。これが円安と株高をもたらし、インフレ率も2年以内に2%にまで上がるというものだ。  ところが、日銀が金融緩和を強化した途端に、長期金利は逆に上がり始めている。株価はこれまでのところ、円安―株高の反応を続けているが、金利上昇が続けば、今度は金利上昇―株安の反応が生まれやすくなる。為替においても、日本金利上昇は円安でなく円高をもたらしやすい。  アベノミクスは参院選を前に早くもひとつの正念場を迎えている。 【今週の数字】 10年国債利回り 0.87% アベノミクスのストーリーは異次元金融緩和が金利低下をもたらし、それが円安―株高をもたらすというもの。ところが、金融緩和決定以降、10年国債利回りは1か月強で2倍の水準に上昇した
異次元金融緩和

黒田日銀総裁が異次元金融緩和を打ち出して以降、10年国債利回りは上昇を続けている。0.43%だった金利は5月15日時点で0.87%と約2倍になった。金利上昇は今後、株価へも影響しかねない

【植草一秀氏】 シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ」「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。近著に『金利為替株価大躍動』(ビジネス社)
金利・為替・株価大躍動

インフレ誘導の罠を読み抜く

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