和食ブームのタイでコシヒカリ作りに挑戦する日本人
空前の和食ブームのバンコクにおいて、今年2月ごろから日本種米、コシヒカリなどいわゆるジャポニカ米不足が目立ち始め、在タイ日本人の家庭にまで影響が及んでいる。バンコクで入手できるジャポニカ米のほとんどがタイ北部で生産されているのだが、インラック首相が取り組む、米を担保とした融資政策によりジャポニカ米生産農家がタイ米生産に切り替えているためだといわれる。
そんな中、日本人の小宮克久さんが日本からコシヒカリの種籾を持ち込み、タイ北部のチェンマイ県チェンダオ郡で改めて日本の米をタイに根付かせようと奮闘している。
⇒【写真】「小宮さんの田んぼ」はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=482587
チェンマイ市街地は発展してしまったために空気が悪くなってしまった。チェンダオはいくつかの山を越えた先にあり、同じチェンマイ県でありながら空気がよく、水もきれいな土地だ。近々、ミャンマーとの国境が新しくできるので、チェンマイとその国境ゲートの中間にある観光地としても注目を浴びている。
実は小宮さんは実家での仕事で「海宝いかしゅうまい」を開発し、2008年に国際的な食品コンクール「モンドセレクション」の最高金賞に輝く実績を持つ。新しいものを作り上げることに情熱を燃やす小宮さんのこのコシヒカリ生産計画は現在進行形で進んでいる。これらはフェイスブックの『Japanese RICE Project (https://www.facebook.com/koshihikarichiangmai)』にて随時経過が報告されている。11月にどんな結果が出るか。日本のものと同じ味になるか、楽しみである。
<取材・文・撮影/高田胤臣>
――なぜ今、コシヒカリを持ち込もうとしているのでしょうか。
「タイにもいろんな農作物がありますが、実際に生産者との距離があまりにも遠く、名ばかりのオーガニックが多いような気がしていました。嘘をつかず、正直に育成状況を消費者に見せることが安全という考え方をコンセプトに、消費者が状況を見られ、生産段階から状況把握できることを目指します。もちろん必要以外の化学肥料や農薬は使用しません」
――元々日本では米の仕事をしていたのですか?
「そういうわけではありません。大学卒業後に香港の旅行会社を経て、実家の旅館経営に入ったときに食品の仕入れや開発などを手がけたことがあるくらいです。今回のプロジェクトはチェンマイの北70kmのチェンダオという場所で、契約農家に委託する形を取っています。なんせ手探りのことばかりなので四苦八苦しながらがんばっているところです」
――今回の作付けから刈り取りまでの日程を教えてください。
「6月20日に籾撒き、7月24日に田植えをしました。刈取りは11月に予定しています。心配なのはやはり害虫やジャンボタニシの対策です。できるだけ農薬は使いたくないので、合鴨投入を検討しています。現状は6ライ(9600平方メートル≒2910坪)で、今後は5~10倍の農地を確保しようと計画中です」
――チェンダオを選んだ理由はなんですか?
「チェンダオは平地より比較的涼しく寒暖の差があり、水源確保が常時可能というところがあって選定しました」
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