フェラーリの販売台数アップとアベノミクスは無関係!?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
都内某所で厳かに行われたフェラーリの新型「458スペチアーレ」の発表会に、SPA!は呼ばれなかったので、MJブロンディ氏の付き人として潜入!報道するメディアはもちろん、オーナーもメーカーが選んでいるとウワサの新車フェラーリの最新モデルを拝んでまいりました!
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆国ごとに配給制のフェラーリが、なぜ中国よりも日本を重視しているのか?
日本の大マスコミは井の中の蛙なので、自分の尺度でしかものを見ない。たとえば、アベノミクスによる景気回復の証明として、「フェラーリなどの超高級車の売れ行きが伸びている」などと報道する。
確かに今年前半の数字を見ると、フェラーリの日本国内の販売台数は24%伸びた。しかしそれは、景気とはほとんど関係がない。
なぜならフェラーリの新車は、「配給制」だからだ!
大衆車メーカーは、1台でも多く売りたいから、注文が入れば喜んで増産するが、フェラーリは違う。過去の販売実績や、フェラーリに対する忠誠心に応じて、事前に国ごとの配給台数を決定する。販売台数を決めるのは、客ではなくメーカー側。お客はそれを、ありがたく順番待ちして買わせていただく。日本の景気が回復したからって、いきなり増産などするはずはない。
ではなぜ、フェラーリ本社は日本への配給台数を増やしてくださったのか。謎だが、日本を重視しつつあることは確かなようだ。
逆に中国市場は軽視しつつあるらしく、今年の5月、フェラーリのルカ・モンテゼモロ会長は、ブランド力維持のため、今後しばらく中国での販売台数を増やさないことを暗に表明。「年に500台も売れては、独創的な存在たり得ない」「中国では、今後ディーラーのトレーニングや研修が必要だ」と述べた。日本の昨年度のフェラーリ販売台数も、500台強あったんですけど!
つまり、ブランドの歴史もなにも知らず、ただ見栄だけのためにフェラーリを買い漁る中国人富裕層より、’70年代からフェラーリを愛し、真のフェラーリ愛好者が多く、かつ東日本大震災においても賞賛されるべき態度を見せた日本を優先します――とは言っていないが、そんな姿勢が見え隠れするのである。
今回、都内で行われたフェラーリの新型モデル「458スペチアーレ」の発表会でも、日本優遇の姿勢は明らかだった。
なにしろ、9月のフランクルフト・モーターショーで発表されて以来、初めて実車が公開されたのが、ここ日本だったのだから。アメリカよりも中国よりも先に日本! なぜ? どうしてそんなに良くしてくださるの? 謎ですが嬉しいです。
⇒【後編】に続く「年収200万円。節約してフェラーリを買うのは日本人だけ」 https://nikkan-spa.jp/528340
⇒【写真】フェラーリの新型「458スペチアーレ」はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=528349
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