スマホの普及によって変わった一般消費者の生活
ヤフーのe-コマース革命をはじめ、C2C(一般消費者間の取引)に劇的な変化が訪れようとしている。未来を感じさせる変化の一端を紹介する
◆一般消費者にも影響大、スマホが消費を変える
前回(https://nikkan-spa.jp/559881)紹介した『Helpouts』『ニコニコ ユーザーチャンネル』の2サービスは、専門家やクリエイターの可能性を広げる意味合いが強いが一般消費者の身近なところにも変化は起きている。
「ネットオークションや個人間売買はスマホの普及によって変わりつつあります。アメリカではスマホで完結する手芸売買サイトなどが流行っていますが、日本でもスマホで撮影してすぐ出品できるオークションサイトが登場しています。ECサイトやオークションサイトに対するイメージは、ネット詐欺などもあり、『安心・安全』とは言い切れない存在でした。しかし、スマホによる手軽さから敷居が低くなり、イメージも変わってきました。今後登場するC2Cサービスは、消費者間をダイレクトにつなぎつつ、そういった負のイメージをいかに消していくかがポイントになります」(消費生活評論家の岩田昭男氏)
また、決済システムの多様化も変化を後押しする。その一つが、スマホでクレジットカード決済を受け付けることができる『Squareカードリーダー』の登場だ。スクエアは’10年にアメリカでスタートしたサービスで、北米を中心に喫茶店や移動販売車などで使われ、年間取扱高は1兆5000億円。このサービスが’13年から日本に上陸、サービスを開始した。
「スクエアは、北米でも小さな飲食店や個人事業主によるスモールビジネスを対象に展開していますが、日本も同様です。また、個人芸術家を対象としたリーダーの体験プログラムなども始めています。手数料が低く導入ハードルが低いスクエアなどのカードリーダーが普及すれば、個人事業主だけではなく、さまざまなジャンルのフリーマーケットや即売会でも、作品や価値ある情報の売買が活性化していくのではないでしょうか」
また、ECサイトやカード会社だけがこの変革のプレイヤーではない。通信キャリアもまた、鍵を握っている。毎月の携帯料金と共にコンテンツ購入料金などを支払う『キャリア決済』の例を出すまでもなく、通信キャリアはモバイル決済の中心的存在なのだ。
「auの『じぶん銀行』、ドコモ『DCMX』、ソフトバンク『ペイパルヒア』など、各社はさまざまなモバイル決済サービスを展開しています。ただし、現状では大手銀行などと組んでおり、革新的なことはあまり期待できません。しかし、通信キャリアが大きく動けば、それこそ生活が変わるのでは」
モバイル決済に最も近い通信キャリアの動向。それは、変化が生じ始めたC2C市場がさらに飛躍する鍵を握っているのだ。
◆注目C2Cサービスの特徴
【Yahoo!ショッピング】
商品:個人によるストア出店が可能になり、幅広い物品の販売が期待される
条件:個人が出店可能で、ストア出店料が売り上げロイヤルティが無料
特徴:2013年10月に「e-コマース革命宣言」が発表され、わずか2週間で業界最大手の楽天の店舗数を抜いた。しかし、現状は「楽天にとって脅威ですが、プロモーション、ポイント、決済など楽天のアドバンテージもあるのですぐに決着はつきません」(岩田氏)。では、どんな変化が起こるのか? 「フリーマーケットのように中古品市場ではなく、趣味に近い物、商品として出回らなかった物などが出てくると面白いですね」(同)
― 次世代[C2C]で生活が変わる!?【2】 ―
岩田昭男氏の著書『ネットからリアルへ O2Oの衝撃』 ネット事業者はいかにリアルで戦っていくのか? ポイントや電子マネーによる消費の変化に迫る |
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