【パレスチナ・ガザ地区住民の悲鳴】報道されない小規模な空爆は日常的に行われている
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ガザ地区では、事業を停止する医療機関もある。小児病院を運営するNGO「アルド・エル・インサン」は地域に密着しながら児童の訪問診療を含めた医療活動を行っていた。アドナン・アル・ワハイディ院長は「断腸の思いで病院を閉める決断をした」と語る。
「イスラエル軍の攻撃に伴い、すべての診療・事業を停止することにしました。残念ながら停戦が実施されるまで再開は難しいでしょう。イスラエル軍は町を歩く者だけでなく、家の中にいる者まで狙い撃ちしてきます。現状では、安全の確保は困難です。ただただ停戦が早く行われることを望むだけです。患者の中には、我々のケアがなくては命にかかわる子どももいるのに……」(ワハイディ院長)
パレスチナ自治区・ガザ市内の医療NGO「パレスチナ医療救援教会」(PMRS)で被害者の救援を続けるアイード・ヤギ医師は現在の病院の状況をこう語る。
「空爆のせいでしょうか、病院に電気は来たり来なかったりという状況です。薬も不足気味。搬送されてくる負傷者のうち子どもは25%、女性が15%です」
ガザ地区で活動する日本のNGO、日本国際ボランティアセンター(JVC)の現地担当・金子由佳さんは子どもたちの栄養失調改善のための活動で、事務所のあるエルサレムから毎月ガザを訪れている。
「ガザ地区は『生かさず殺さず』の、極めて特異な人道状況にあります。現在、東京23区の6割程度の大きさに180万人の人たちが押し込められている。モノが不足している現地に私たちが支援物資を持ち込もうとしても、イスラエルの検問で止められることがたびたびあります。2012年の空爆の際は、空爆被害者のために救急セットを持ち込もうとしたのですが、1週間も足止めされました。
支援団体の物資だけではなく、食料や日用品も同様にイスラエルが管理しています。そのため栄養失調が蔓延。今回は大規模空爆なので大きく報道されていますが、小規模な空爆は日常的に行われています。私は毎月ガザに入っていますが、夜半に空爆の音で目が覚めることもあります。
JVCではガザ地区で栄養失調児の栄養改善を支援してきて、やっとその成果が見えてきていました。昨年度は1130人を支援、うち7割の子どもたちに改善が見られました。支援活動を通して、夢や希望を語る現地ボランティアたちも増えてきていました。ところが、空爆のせいで事業が停止に追い込まれてしまいました。事業の成果も、育ってきた夢や希望も一瞬にして破壊されたのです……。
私たちの支援は日本の方々の善意の寄付で成り立っています。どんなにたくさんの支援をいただいて、私たちが苦労して支援を続けてきても、壊されるときは一瞬。今は悲しさと怒りでいっぱいです」(金子さん)
※日本国際ボランティアセンター(JVC)パレスチナ事業では現在、2万3000人の学生・市民を対象とした「東エルサレムにおける学校保健・地域事業」と、6000人の女性と1300人の子どもを対象とした「ガザ地区の母子栄養失調予防事業」を行っている。これらの事業について、ガザの最新情報を含めて公式サイトで発信中。http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine/
<取材・文/白川愚童 写真/日本国際ボランティアセンター>
7月13日未明、ついにイスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区に特殊部隊を侵攻させた。前回イスラエル軍地上部隊が侵攻してきた際には、パレスチナの民間人約1400人が殺害された。今回の侵攻ではすでに168人が死亡。そのうち80%が民間人で、21%は子どもだ(7月13日国連発表)。まだ本格的な地上侵攻には至っていないが、それが現実のものとなればさらに膨大な死者が出ることになる。緊張が高まる現地の声をレポートする。
ガザ地区の北部ベイト・ハヌーンに住む主婦のアマルさんは緊迫した声で話した。
「厳しい空爆があちこちで続いています。私のいとこも家族とともに殺されました。私と4人の子どもたちも、恐ろしくて眠ることができません。今日(13日)、イスラエル軍は給水タンクや家の周辺を何度も攻撃しました。ウンム・ヤヒヤ通りでは、F16戦闘機の攻撃で3人の子どもが殺されています」(アマルさん)
ガザ地区北部に住む主婦のヘクマットさんは1児の母で、子どもはまだ1歳半。
「今回の空爆で、私の叔母が殺されました……。私の家のすぐ裏にも爆弾が投下されました。子どもたちのことが心配です。息子が熱を出しているのですが、いっこうに下がりません。医師の話では、空爆の音のストレスだということです」(ヘクマットさん)
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