更新日:2012年02月14日 20:43
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あのカップスープにゴキブリが入っていた……

美味しいと評判のカップスープを飲んでいたら、中にゴキブリの死骸が浮いていた――。
「ホットワンタンおかずのスープ」に入っていたゴキブリ

「ホットワンタンおかずのスープ」に入っていたゴキブリ

今年の4月30日(土)、A 氏(会社員・27歳)はコンビニで昼食用に弁当と、カップスープ「ホットワンタンおかずのスープ」を買い、社内で束の間の休息をとっていた。そしてスープの残りが3~4cmほどになったところで異変に気づく。「この浮いている茶色い塊は、なんだ?」。よく見てみると、脚が生えている。それは間違いようもない、ゴキブリの死骸だったのだ。A氏は、「(ゴキブリが)直接の原因かはわかりませんが、午後は腹痛と下痢で仕事もままならなりませんでした」と振り返る。 翌日の5月1日(日)になっても腹痛と下痢は治まらなかった。家で休んでいたA氏はスープの発売元である東洋水産株式会社の消費者窓口に電話した。 「状況を話したら、担当者が『社に持ち帰って調べます』と。職場にそのままの状態にしておいたカップスープを同僚に頼んで、来社した東洋水産の方に渡してもらいました」 そのあとA氏のもとに電話が入り、同日19~20時頃、東洋水産の社員が一人、家にお詫びに訪れた。 「自社の製品の詰め合わせを差し出して、『申し訳ございません』と頭を下げられても……。ゴキブリ入りの商品を食べた直後に、なんでお詫びの品がそれなんだとビックリしました。こっちは腹痛と下痢で大変なのに、体を気遣う一言があるわけでもなく、挙句『混入物が虫か何なのかわかりませんが』って、お詫びの気持ちが全く伝わってきませんでした」 A氏は憤りを押さえ、「原因を調査して報告してください」と切り返した。当社員は「一週間ほど時間をください」と足早に去っていった。
東洋水産株式会社による調査報告書

東洋水産株式会社による調査報告書

一週間後、「調査結果が出ました」と連絡が入り、さらに一週間後の5月16日に、東洋水産社員2人が家にやってきた。 「最初にお詫びに来た若い人と、その人の上司らしき人の2人でした。報告書を渡され、読み上げ、『申し訳ございませんでした』と。肝心の上司はこの状況を何も理解していなさそうだし、2人して『申し訳ございません』と繰り返すばかりの事務的な対応にため息が出ました」 そして東洋水産の2人は「納得がいかない」と言うA氏に手詰まりしたのか、「時間をください」と家を離れた。その直後、若い方が急に戻ってきて、封筒を渡された。中には、10円玉が一枚……。 「『問い合わせ時の電話代』とのことでした。さらに、『納得がいかないようならば訴えていただいて結構です』と。訴えるなんて一言も言ってませんし、そもそもそんなつもりもありません。ちゃんとした報告書を持って、『お体大丈夫ですか?』の一言があれば、僕はそれでよかったんです。時間を引っ張って、会社の余りモノをお詫びとして持ってきたり、電話代を渡してきたり、なんでそんな火に油を注ぐようなマネをするんでしょうね。もう、赤いナントカとか緑のナントカは二度と食べません」 A氏が「商品代すらいただけないんですね」と言うと、若い社員は財布を取り出し、商品代金を渡して立ち去った。 ちなみに調査報告書には、混入物の正体がチャバネゴキブリの幼虫だったことのほか、混入経路として、「製品搬出口や資材類の搬入口から当該虫が工場内に侵入し、包装ライン工程で製品に混入した」「工場へ搬入する原材料のカートンケース等に付着・混入したものが工場内に持ち込まれ、カートン開封時に容器包材等に混入した」可能性があると推察しつつも、混入経路の特定には至らなかったこと。また、現在行っている対策と、今後の対策が書かれていた。 記者が東洋水産に問い合わせたところ、ゴキブリが混入したことは「事実」と認めながらも、「(ゴキブリが)なぜ入ったかを特定する術がない」ということだった。A氏はいまだに「トラウマで、コンビニ売りの食品が喉を通らない」と言う。メーカーのミスかどうかは「特定できない」が、食品に虫が入ることは可能性として十分あり得るということがこの事例からもわかった。カップラーメンのヘビーユーザーであり、よく噛まずにモノを口にかき込む性分の記者は、早食いを自重しようと思った次第である。 取材・文/トモゾー
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