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愛国のエコノミスト(1)――元財務官僚・高橋洋一氏の凄まじい筆力
2017年09月28日
愛国のエコノミスト(1)――元財務官僚・高橋洋一氏の凄まじい筆力
育鵬社編集部M
『夕刊フジ』に連載されている高橋洋一氏のコラム
執筆のモチベーションは、世の俗論との溝を埋める「使命感」
財務省出身者でエコノミストとして活躍する高橋洋一氏は、大学に転職し現在、嘉悦大学の教授であるかたわら、旺盛な執筆活動を行っている。 彼は、『夕刊フジ』で【「日本」の解き方】と題したコラムを毎週月曜日から金曜日まで5回連載している。このコラムは、2010(平成22)年1月スタートであるため、現在までに実に7年9か月にわたり1866回ほど書き続けている。1回のコラム分量が400字詰め原稿用紙で約3.3枚のため、総枚数は6158枚(400字換算)だ。 一般的な新書サイズの本は、400字詰め原稿用紙250枚ほどで1冊分の分量となるため、実に25冊分の新書を書き上げている勘定となる。 さらに、ダイヤモンド・オンラインといったいくつかのニュースサイトにも寄稿している。 まず、この凄まじい筆力のモチベーション(動機)は何なのか。 一言でいえば、「国益と政策的合理性」を追求して得た高橋氏なりの結論と、世にはびこる俗論との溝が深すぎて、それを埋めなければならないという「使命感」があるのではないか。 それを感じさせる二つの文章を、高橋氏が9月上旬に発刊した最新刊
『日本を救う最強の経済論』
から紹介しよう。
一つ目は、バランスシートから日本の財政を見る
「筆者は大蔵省にいた頃、日本の財政にバランスシートがないことがずっと気になっていた。……
20年以上も前の話
だが、……自分から『バランスシートがないと国家運営はできない。バランスシートを作らせてくれ』と……言った。バランスシートは企業でいえば貸借対照表だが、国家の財政にとっても貸借対照表が必要なことは言うまでもない。当時の上司から『じゃ、バランスシートを作ってみてくれ』という了承をとった筆者は、1995年にさっそくバランスシートの作成に取りかかった」 「そのとき、国の資産があまりにも多額なことに驚いた。ほかの国は政府資産が少額なので、資産・負債差額で見ても負債額だけを見ても大差はない。だが、
日本の資産額は600兆円を超え、これは世界で最大だ
」 「
大蔵省は
、国の借金が膨大だということばかり強調し、
負債額だけで財政危機を煽っていたきらいがあった
。資産額が世界最大ということが分かればその主張と矛盾する。また、……その資産の大半は特殊法人などへの出資金・貸付金だったから、もしも資産の売却や整理をしろということになれば、特殊法人の民営化や整理は避けられない。天下り先を失うと困るので口を塞いだ、というわけだ」(以上、96~98ページ)
財政再建のための消費増税は不要
高橋氏はさらに、日本銀行は政府の子会社であり、日銀を加えた連結ベースで見れば、日本の「純債務は激減する」。そして次のように述べる。 「需要の急速な減退によって深刻な不況が生じているとすれば、(このように)問題がない財政再建に注力するよりも大胆な金融緩和を行った方がいい。政府単体ベースの財政再建にしても、増税ではなく景気回復による税収アップが見込まれれば、そちらの方がいい。量的緩和と政府通貨の発行は財政再建に大きな効果が見込まれるのだ」(103ページ) これが、高橋氏のデフレ不況下での「消費増税不要」の
20年来の結論
の背景である。実際、彼の提言による金融緩和政策により、景気は長期に回復し
税収もアップしている
。このような状況下で、財政再建のための消費増税は不要なのである。(続く) (文責=育鵬社編集部M)
育鵬社編集部M
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『
日本を救う最強の経済論
』
バブルの対策を誤り、その後の「失われた20年」を系統的に解き明かし、今後のわが国の成長戦略を描いた著者会心の書。
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「筆者は大蔵省にいた頃、日本の財政にバランスシートがないことがずっと気になっていた。……20年以上も前の話だが、……自分から『バランスシートがないと国家運営はできない。バランスシートを作らせてくれ』と……言った。バランスシートは企業でいえば貸借対照表だが、国家の財政にとっても貸借対照表が必要なことは言うまでもない。当時の上司から『じゃ、バランスシートを作ってみてくれ』という了承をとった筆者は、1995年にさっそくバランスシートの作成に取りかかった」 「そのとき、国の資産があまりにも多額なことに驚いた。ほかの国は政府資産が少額なので、資産・負債差額で見ても負債額だけを見ても大差はない。だが、日本の資産額は600兆円を超え、これは世界で最大だ」 「大蔵省は、国の借金が膨大だということばかり強調し、負債額だけで財政危機を煽っていたきらいがあった。資産額が世界最大ということが分かればその主張と矛盾する。また、……その資産の大半は特殊法人などへの出資金・貸付金だったから、もしも資産の売却や整理をしろということになれば、特殊法人の民営化や整理は避けられない。天下り先を失うと困るので口を塞いだ、というわけだ」(以上、96~98ページ)財政再建のための消費増税は不要
高橋氏はさらに、日本銀行は政府の子会社であり、日銀を加えた連結ベースで見れば、日本の「純債務は激減する」。そして次のように述べる。 「需要の急速な減退によって深刻な不況が生じているとすれば、(このように)問題がない財政再建に注力するよりも大胆な金融緩和を行った方がいい。政府単体ベースの財政再建にしても、増税ではなく景気回復による税収アップが見込まれれば、そちらの方がいい。量的緩和と政府通貨の発行は財政再建に大きな効果が見込まれるのだ」(103ページ) これが、高橋氏のデフレ不況下での「消費増税不要」の20年来の結論の背景である。実際、彼の提言による金融緩和政策により、景気は長期に回復し税収もアップしている。このような状況下で、財政再建のための消費増税は不要なのである。(続く) (文責=育鵬社編集部M)バブルの対策を誤り、その後の「失われた20年」を系統的に解き明かし、今後のわが国の成長戦略を描いた著者会心の書。