追悼 東城百合子先生(5)

東城先生顔写真5縮小(20181112)写真撮影:田村 仁

料理教室で講義中の東城先生(撮影:田村 仁)

〝日本の心〟を伝える

 『あなたと健康』主幹の東城百合子先生が、令和2年2月22日、逝去されました(享年94)。先生は自然食・自然療法研究家の大家として長年にわたり活躍され、生涯現役を貫かれました。  当社からは、『あなたと健康』創刊45周年記念出版となる『健康になる食べ方 幸せになる生き方』と『長生きできる食習慣――健康長寿にはわけがある』を刊行いただいたほか、日本の歴史を後世に伝えるための教科書事業にも、多大のご理解・ご支援を賜りました。  ここにご冥福をお祈りするとともに、ご遺徳を偲び、東城百合子先生の言葉を紹介します。

誇り高く生きた日本の歴史を伝えたい

 私が主幹をしている健康運動は、自然を師として学び、月刊『あなたと健康』という35頁の小誌が主軸になっています。それは料理、掃除、人間同志の交わり、接触などで学びます。雑誌の発行という〝種まき〟は様々な人とのご縁と、出会いを運んでくれました。月刊誌だけでなく料理教室、栄養相談、講演活動、宿泊しながら生き方を学ぶセミナー、毎月の勉強の場である月例会も、すべて広告宣伝なしで健康運動は草の根の如く少しずつ広がってきました。  今ではそうやって学んだ人達が全国で育ち、大勢の方々が自主的にグループを作る。そしてこの自然の力を学びつつ、人々にも伝えたいとの思いから講演会を無料で開催します。  それは人の財布をあてにせず、自分達で出し合って己の心を養うためです。それで困る事なく自然の経済学を学ぶことになりました。それは理論や理屈でなく実行して学ぶことです。そして子育て、夫婦の生き方、家族のあり方、つまり生き方すべてが勉強です。  私も93歳という年齢を迎え、かつては死にかけた者が、健康で今も皆さんと共に活動を続けられる事は、言葉で言い尽くせない感謝があります。  そんな中で、現代では自然から離れ、心を失い、食さえも何もせずレンジでチンで食べる。子は荒廃し、いじめが大きな問題になっています。  ある日、「日本人の留学生は、自分の国の歴史も知らず、祖国を愛する事も知らない」と驚く外国人に巡り会いました。私はその話を聞いて空恐ろしいというより胸が痛くなりました。それは、我が国の伝統の歴史は忘却され、愛国心も民族の誇りも忘れた日本人が続々と育ち、信じられないような事件が起こるようになった事とは別ではない。  歴史は〝人がつくる〟。それは私達の先祖が生きてきた道。  私は次の時代を背負う子供達に、どうしても生きた〝日本の心〟を知って欲しい。その為にも、今、子育て中のお父さん、お母さん方にもお伝えしたい。そんな思いでこの小冊子をつくることになりました。 (『日本がもっと好きになる』あなたと健康社より) 東城百合子(とうじょう・ゆりこ) 自然食・自然療法の大家として知られる。大正14年岩手県生まれ。昭和17年当時日本の栄養学の草分けだった佐伯矩博士に師事、栄養士となる。昭和24年重症の肺結核となったが、自然療法によって自らの病気を克服。それをきっかけに健康運動を始める。世界的な大豆博士といわれ、当時国際栄養研究所所長、国際保健機構理事のW・Hミラー博士に師事、自然の栄養学を学ぶ。昭和35年には沖縄に渡り、全島に健康改革の灯をともした。昭和39年沖縄より帰京、東京に居をすえて、出版活動、自然食料理教室、栄養教室、生活塾、講演活動、健康運動に力を注ぐ。昭和48年5月、月刊誌『あなたと健康』(あなたと健康社)を出版し、以来、出版活動と共に運動を進め、今日に至る。その確かな理論と実績に、全国から勉強に訪れる人が多い。著書に、100万部を突破したベストセラー『家庭でできる自然療法』(あなたと健康社)、『食卓からの健康改革』『心を育てる子どもの健康食』(以上、池田書店)、『お天道さま、ありがとう。』『かならず春は来るから』(以上、サンマーク出版)、『食生活が人生を変える』『自然療法が「体」を変える』『食生活が子どもの人生を変える』『「免疫力が高い体」をつくる「自然療法」シンプル生活』『生きた実例と手引き「自然療法」』(以上、三笠書房)、『健康になる食べ方 幸せになる生き方』『長生きできる食習慣』(以上、育鵬社)などがある。令和2年2月22日逝去。
長生きできる食習慣――健康長寿にはわけがある

肥満・生活習慣病にさようなら! いのちの力を養う食事と生き方 医者いらずの健康法

おすすめ記事
おすすめ記事