特殊清掃業者が遭遇した「時が止まったままの部屋」。裁判で揉めて“死後2年間”も放置
日常生活を営む中、突然の発作により“孤独死”をしてしまうとどうなるのか?
「部屋に入ると、時が止まったままのような錯覚に陥ってしまうこともあります」
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに詳しい話を聞いた。
孤独死の場合はセルフネグレクトのパターンが多いが、きちんとした日常生活を送っていても急な発作などで亡くなるケースもあるという。
「トイレで亡くなられた方がいたんです。食事を食べている最中に体調が悪くなったようで、トイレに駆け込んだところ、そのまま発作が起きて亡くなってしまったようでした。死後4日ほど経過してからの清掃で、季節は暑くはなかったので遺体の腐敗はひどくはなかったです。
ただし、食卓の上には食べかけの食事が置いてあったのですが、ご飯はカピカピになっていて、味噌汁は干からびて、魚は虫によって食べ尽くされていました。シンクの洗い物はそのままで、冷蔵庫にもまだ食べられそうな見た目の料理がお皿に入って置いてありました。テレビもついたままになっており、“ついさっきまでここで人が生活をしていたんだろうな”という雰囲気が感じられました。
また、他の現場ですが、お米を炊いている途中だったのか、手をつけていないご飯が保温状態で変色して炊飯器の中に残されていました。匂いは発酵したかのような腐敗臭がしました。さらに洗濯機で洗い終わった洗濯物がそのまま放置されていて、生乾きの匂いがしました。現場からは、その人の日々のルーティンが垣間見られます」
孤独死は、地域の回覧板から発覚するケースが多々あるという。
「ポストには回覧板が何日も放置されていて。回覧板が回ってこないと、地域住民の間で問題になったようです。インターホンを押しても出てこない状況が1週間ほど続いたので、警察に通報してみたところ、孤独死が発見されたケースがありました」
新聞配達員や宅配弁当業者が孤独死を発見することもある。
「新聞がポストに入りっぱなしで回収されていない。宅食の人が弁当を家の前に置き配で届けにきたけど、昨日の分が食べずに放置されているといった状況で、業者の方がインターホンを押してみたが出ずに、心配になって扉を開けたら倒れていたといった状況もありました。
そもそも特殊清掃として呼ばれている現場なので、あたりまえに助かったケースは見たことがありませんが、同じような境遇で救急車を呼んでもらい一命を取り留めた方もいると思います。老人のひとり暮らしはそういった宅配サービスを利用するというのが孤独死を避けるためには大事なことなのかもしれません」
現場の状況から“日々のルーティン”がわかる

※写真はイメージです。以下同
回覧板や新聞が“孤独死”発見のきっかけに
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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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