小保方さん&理研の「マウスの扱い方」にも疑問続出
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同団体は5月9日付で、この件のほか「小保方さんが『実験をした』と言っている期間で『動物実験計画書』の出ていない期間があるのはなぜか」などの動物実験に関する質問書を理研に送付している(『SPA!』6/10号で既報)。理研は「現在、回答準備中」とのことだ。
実験動物に対する倫理規定には、動物愛護管理法にも規定されている「3R」という国際的な原則がある。すべての実験者はReplacement(動物を“使用する”研究から“使用しない”研究への代替)、Reduction(実験に用いられる動物数の削減)、Refinement(動物が受ける苦痛の軽減)を守らなければならないというものだ。※これにResponsibility(動物に対する責任)やReview(厳密な審査)を加えて「4R」とすることもある。
「結局これらは建前で、小保方さんに限らず多くの研究者の間で形骸化しているようです。『安楽死に失敗して生きたままのマウスが捨てられていた』『手術後の保温などのケアがなされていない』などのケースがたびたび明るみに出ますが、これは氷山の一角でしょう。研究機関内部で実験動物がどう扱われているのかについては、内部の人間にしかわかりません。
だからこそ計画書の厳密な事前審査や外部査察などのルールが必要なのですが、日本は諸外国と違ってそうした法規制がありません。『理研にはマウスを自由に使える環境があったのではないか』という意見も耳にします。小保方さんのノートの『移植(ハート)』なんていうのも、とても命を犠牲にした実験の記述とは思えません」
実験用のマウスは実験動物生産会社で生産され、研究所などに1匹数百円~で売られる。高いものでは数万円するものもあるという。実験に使われたマウスだけでなく、余ったマウスも処分される。
「マウスが実験によく使われる理由は、人間と身体の反応が特に似ているからというわけではなく『入手が容易』『小さくておとなしいので扱いやすい』『寿命が短く成長が早いので結果が早くわかる』という、実験する側の都合によるものです。今後は、いかに実験に使われる動物たちを減らしていくか、苦しみをなくしていくかを考えていかなければならないと思います」
<取材・文/北村土龍>
STAP細胞論文の撤回に同意した理化学研究所(理研)の小保方晴子ユニットリーダー。白紙撤回になったとはいえ、その論文や実験の内容にはまだ多くの疑惑が残っているが、実は彼女のマウスの扱い方についても疑問の声が上がっている。
理研に情報公開請求を行ってSTAP細胞関連の「動物実験計画承認申請書」を入手した、動物保護団体「PEACE」の東さちこさんはこう語る。
「この計画書は、実験動物をむやみに殺したり苦痛を与えたりといったことをなくすためのものです。小保方さんの計画書を見ると、『幹細胞移植』『逆流性食道炎モデルの作製』という動物実験が申請されていて、苦痛度はどちらも『C』と書かれています。苦痛度はA~Eのレベルに分けられ、Aがいちばん低く、Eがひどい苦痛を伴うものということになっています。そのため、Eの実験をするにはよほどの理由がないと認められません。『幹細胞移植』は大きな痛みを伴う腫瘍形成を想定しているものと思われますし、小保方さんの上司が出した最初の計画書ではDだったものが、小保方さんでは急にCに下げられました。
また『逆流性食道炎モデル』は、胃酸を逆流させるために手術で十二指腸を狭めてから2日間絶食させ、胃や食道に炎症をつくるという非常に過酷なものです。これらは本来ならば最低でも苦痛度D(※水も与えなければEの可能性も)であるはずがCで申請され、そのまま認められてしまいました。つまり、小保方さんが苦痛度を低く自己申告したものを、理研はノーチェックで通してしまったという疑いがあるのです」
※小保方さんは計画書に給水制限を「しない」と書いているが、そもそも水を与えると胃酸とともに吐き出してしまうモデルのため、本当に水を与えられたかどうかは不明。
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