仕事

これが電子書籍? 挑戦を続ける製本会社の“アイデアが生まれる現場”に密着

最終的な本の形に仕上げる「製本会社」の仕事

篠原慶丞さん

篠原慶丞さん

【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます  現在、紙の出版物の売り上げは16年連続で減少し、書店の数も減り続けている。今後も縮小を続けることが予測され、厳しい状況が続く。そんな出版業界の中で、独創的な仕事ぶりで注目を浴びている「製本会社」がある。篠原紙工という、東京の下町にある従業員16人の小さな会社だ。  とはいえ、出版社や印刷会社と違って「製本会社」と聞いてすぐにイメージがわく人は少ないだろう。いったいどんな業務をする会社で、どの部分が注目されているのだろうか? 篠原紙工社長の篠原慶丞さんに話を伺った。 「紙に印刷して1枚のシートにするのが印刷会社。それを最終的な本の形に仕上げるのが製本会社です。まず、出版社から原稿やデータを印刷会社が受け取り、それを紙に印刷したものが製本会社に送られてきます。それを切って折って綴じて、カバーや帯をかけたりスリップ(短冊型の売り上げカード)をさしたりして、出版社の倉庫に納品します。ポストカードをくっつけるなどの作業も行います」 篠原紙工の仕事1 篠原紙工の創業は1974年、会社法人の設立は1980年。篠原さんは2代目社長だ。 「僕の父が印刷会社の一角を間借りして、そこに断裁機を置いて製本業を始めました。売り上げの割合としては、書籍が3~4割で、あとは商業印刷物(パンフレットやノベルティなど)が4~5割、ノートなどの文具や紙製アクセサリーなどの加工製品が1~2割といったところです」

コロナ禍の中で“捨てる勇気”を持ち、大幅な業務改善

 新型コロナウィルスの感染拡大で、昨年2月頃から多くのイベントが自粛・中止となった。そのことにより、篠原紙工も大きな影響を受けたという。 「昨年2月から10月ごろまでの間に、通常期と比較すると半分くらいの売り上げまで落ち込みました。ウチは美術館や博物館の図録など、展示会場で売るような特装本や、イベントのパンフレットなどの仕事が多いんです。進行中だった多くの企画が凍結・延期となり、そのまま中止になってしまったものもありました。  ただ、そのときに「今後、コロナが収束しても元には戻らない。これまで予測していなかったような未来がやってくる」と考えて、昨年の5月ごろから大幅な業務改善を進めました。具体的には、ひとりひとりの個性が活かせる要素の多い仕事に力を入れて増やしていったのです。逆に、業務的な仕事(仕様が決まっていて、早さ・値段・製品の品質など“スペック重視”の仕事)は減らしていきました。  当社が大切にしていることが3つあります。「本質を探る」「作る人お客さまがチームになる」「やってみる」。これらを日々の仕事と照らし合わせて考え、その結果に素直に従っていこうと考えた結果の業務改善です。ただでさえ仕事が減っているわけですから、一定数の仕事を減らすことにはかなりの勇気がいりました。  限られたスタッフで既存の仕事をしながら大きな変化をさせるには、各自にのしかかる負担が大きすぎる。そのことを考慮しながら舵取りしました。“捨てる勇気”を持ったということです。その結果、昨年の12月ごろから売り上げが回復し、今年4月ごろには昨年の落ち込みを挽回するほどに回復しました。  この半年間の変化は、篠原紙工が過去何年にもわたって少しずつ進めて来たことです。それが、これまでの十倍以上のスピードで進んだようなイメージです。また、今後も状況が安定するとは考えておらず、さらに精度を上げて改善を続けている最中です」
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適当なようでいて、実はきっちり作られた「いいかげん折り」
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