更新日:2014年08月19日 18:34
スポーツ

「ダルビッシュはチームメイトを見殺しにする」米記者コラムが“大炎上”

 現地13日、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が右ひじの炎症により、今季2度目の故障者リストに入ってしまった。
故障者リスト入りしたダルビッシュ

7月にやはり右ひじの炎症を患ったニューヨーク・ヤンキースの田中将大に続き、故障者リスト入りしたダルビッシュ

「違和感はあるが痛みはない」とダルビッシュ。幸い軽症のようで、レンジャーズのロン・ワシントン監督は「(故障者リスト最短期間の)15日間で復帰してくれると信じている」とコメントしている。  もっとも、ダルビッシュが無理をしてまで今季中に復帰すべきかどうか、意見は割れている。  今季のレンジャーズはメジャー最低勝利に低迷し、ポストシーズン進出は絶望的。来季以降も契約が残る絶対的エースを、故障のリスクを冒してまで投げさせるメリットがあるかは微妙だ。ダルビッシュには今季はゆっくり休んでもらい、万全の状態で来季を迎えてもらった方が良いのでは、という声も出ている。  米スポーツ専門局『ESPN』の番組では先日、有識者たちが「レンジャーズはダルビッシュに今季もう投げさせないべきか」というテーマで議論を展開(http://espn.go.com/video/clip?id=11356421)。また、ダルビッシュ自身も「投げたい気持ちは強いが、大きな怪我につながってしまうと来年にも響く。(今季残りの登板が)1、2試合になるんだったら投げる必要もない」とも口にしている。

『ESPN』の人気番組「Baseball Tonight」で、ダルビッシュの故障について議論するコメンテーターたち

 一方で「どうせ勝ち目のないシーズンだからエースを休ませた方が良い」という極めて打算的な考えを気に入らない人もいるようだ。 『ESPNダラス』電子版でレンジャーズのビートライター(番記者)を担当するジャン=ジャック・テイラー記者は「ダルビッシュはチームメイトを見殺しにする」と題した自身のコラムに、批判的な見解を綴った(http://espn.go.com/dallas/mlb/story/_/id/11355660/yu-darvish-leaving-texas-rangers-teammates-hanging)。  ダルビッシュは故障者リスト入りした後の記者会見で「もしチームがプレーオフ争いをしていたら投げ続けるか」との質問に対し「難しい質問だ。無理をすれば投げられると思う」と答えたとのこと。これに対しテイラー記者は、手厳しい持論を展開している。 「無理をすれば投げれるって? オイオイ、勘弁してくれよ。じゃあボールを手に取ってマウンドに上がってくれ」 「レンジャーズが一体どれくらいの順位にいたら投げるんだ? 首位のチームから0.5ゲーム差?5ゲーム差?10ゲーム差ならどうだ?」 「痛みがあるんだったら、当然投げるべきじゃない。でも“違和感”なら、投げるべきだ」

ダルビッシュとレンジャーズを批判した『ESPNダラス』電子版・テイラー記者のコラム

 テイラー記者はまた、ダルビッシュを故障者リストに入れる決断を下したレンジャーズのジョン・ダニエルズGM(ジェネラル・マネージャー)にも“リーダー失格”の烙印を押した。 「レンジャーズには、他にも故障を抱えながら試合に出続けている選手が沢山いる。そんな中でダニエルズGMは、チームの大黒柱(ダルビッシュ)には特別に休むことを認めるという、組織のリーダーとしてあるまじき間違いを犯した」 「100敗しそうなシーズンに、真夏のテキサスで戦い続けるなんて誰もしたくない。でも、リーダーはそれをしなければならないんだ。エースもそうだ」  惨めなシーズンを送っているチームへの“愛の鞭”だったのかもしれないが、コメント欄では記事への批判が相次ぎ“大炎上”している。 「ダルビッシュがチームメイトを見殺しにしている? 彼は長期的にチームのことを考えているだけだろう」 「何バカなことを言ってんだ。よくその仕事(記者)を続けていられるな」 「あなたの意見には全く賛同できない。レンジャーズの今シーズンはもう終わったんだよ」  コメント欄を見渡す限り、記事に反対する意見が圧倒的多数。ほとんどのファンは「ダルビッシュを休ませるべき」と考えているようだ。  ダルビッシュの話題性、注目度の高さを改めて知らしめた、米記者の“炎上”。どちらの意見が正しいかはさて置き、日本のスポーツメディアもこれくらい議論が盛り上がった方がきっと面白いのだが。 <取材・文/内野宗治(スポカルラボ)> http://www.facebook.com/SportsCultureLab スポーツをカルチャーとして表現するメディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。
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