入手困難、幻の「うに弁当」が新宿に! 第50回駅弁大会が開幕
―[50回駅弁大会]―
冬の風物詩「第50回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が8日、東京・新宿の京王百貨店で始まった。この大会は”駅弁の甲子園”と呼ばれるほどで、全国46の都道府県(沖縄を除く)から300以上の駅弁が集まる全国最大の駅弁大会。’66年(昭和41年)から続く大会はいまや売上が6億円を超えるという超ビッグイベントだ。
50回目の記念となる今回の大会は、この大会だけの掛け紙やパッケージの商品が目白押し、「新幹線開通50周年記念特集」や限定パッケージの弁当が多く売りだされていたり、普段は会場での実演販売が行われない人気弁当などが、お客さんの目の前で調理さる実演販売が行われたりと「特別企画」が満載なのだ。
記者も毎年この駅弁大会に馳せ参じており、今年も開店30分前に並び、今回のメイン企画である「海の三宝対決」の弁当三種をさっそく購入してきた。
◆『あまちゃん』の夏ばっばのモデルとなったうに丼が実演で!
開店するやあっと言う間に長蛇の列となったのが「うに弁当」(岩手県 三陸鉄道 久慈駅/1470円)。一日20食ほどしか販売されないと言われ、さらに交通の便が不便。『あまちゃん』のモデルの弁当となったことで人気に火がつき、さらに入手困難になった、駅弁マニアの間では「幻の駅弁」と呼ばれる「うに弁当」がなんと実演販売されているのだ!
さっそく列に並ぶと「リアス亭」と書かれた、のぼりが飾られた製造ブースでは大勢のスタッフが、うにをご飯の上に乗せている真っ最中。大勢のお客さんに見つめられ、ちょっと緊張気味のスタッフが、ピカピカのうにを宝石を扱うかの如く、丁寧にご飯の上に敷き詰めていく。
レトロな掛け紙を楽しみつつ、開けるとオレンジ色のじゅうたんが! うに!うに!うに! なんの衒いもないほどの直球である。蒸されたうにはトロっとまろやかで、その後にふわっと香る磯の香りが鼻腔を直撃する。よくありがちな”ミョウバン臭さ”はまったく無く、純粋なうにの味がする。下に敷き詰められたご飯もほんのりうに味で、あっと言う間に完食してしまった。
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◆いくらがキラキラ、海の”宝石箱”
お次は、「百花繚乱 いくら華吹雪」(北海道 函館本線 小樽駅/1380円)。「海の輝き」という弁当で毎年人気の製造元「小樽駅構内立売商会」が満を持して放った自信作。
掛紙がすでにド派手なのだが、いざ蓋を開けてみると、テンション急上昇! オレンジ色の醤油漬けのいくらが美しく光を放つなか、その脇をがっちりと固めるのはズワイガニのほぐし身。厚焼玉子のほぐした黄色、そして紫蘇の実の緑が完璧に盛りつけられ、実にカラフルで美しい。
まさに「宝石箱」と化した弁当だが、酢飯の上に敷き詰められたししゃもの卵のプチっとした食感、煮付けられたしいたけの甘さが”宝石”の味を引きたてている……。豪華な食材に頼らず、脇役にも手抜かりない、製造元の気合とこだわりを感じる逸品だ。
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◆「元祖かに寿司」の老舗駅弁調製元が放つ意欲作
最後は、’66年の第1回大会で、栄えある売上1位を獲得した「元祖かに寿司」の老舗販売元がこの大会に送り込んだ新作「あったか かにしゃぶ風弁当」(鳥取県 山陰本線 鳥取駅/1400円)。「あったか」という名の通り、この弁当は紐を引っ張ると容器が温まる加熱式。カニのほぐし身を温めて、しゃぶしゃぶ風にいただくという新機軸らしい。
紐を引っ張るとすぐにふわ~っと湯気が出て、カニの甘い匂いが充満する。箱に書かれたとおり、7分待って蓋を開けると、ドンと目に飛び込んできたのはズワイガニの棒肉。ふんわりしていて、手づかみで食べるとまさにカニしゃぶのよう。その脇には紅ズワイのほぐし身、スクランブルエッグ風の卵焼きはトロトロ。
カニの煮汁で炊いた茶飯は雑炊風で、サラサラと入っていく。なかなかのボリュームであったがあっという間に完食。駅弁の意義はさておき、この時期にはありがたい温弁当であった。
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北海道の天候不良で一部の駅弁の入荷が見送られるなどしたが、初出場が90、全体でも308コの駅弁が鎬を削る、日本一の駅弁大会。今週末にはぜひ訪れて、各地方の特色ある味を堪能してほしい。
駅弁記者は明日以降も会場に出没し、注目駅弁をリポートします!
【第50回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会】
1月8日(木)~20(火)
京王百貨店新宿店7階大催場
午前10時~午後8時 ※14(水)・20(水)は午後5時閉場
http://www.keionet.com
<取材・文・撮影/駅弁記者(参加=8年連続13年目)>
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