満月の下、裸足でインド聖山を巡礼した――小橋賢児「小さい奇跡が重なり合い。大きな奇跡を産む」
その日の夜、その整体師の方に誘われてアシュラムで行われるバジャンという賛美歌のコンサートまで行く事ができた。
そこで聞いた楽器の音色やボーカルの女性の声はとても美しく、且つ力強くもあり、何か宇宙からのエネルギーを受け取っては音として吐き出し、訪れた人々と同調していくような不思議なエネルギーでその空間は埋め尽くされていた。
以前、芸能の神様を祀っていると言われる奈良にある天河神社に行った時に聞いた話だが、水の音がサラサラと音になり、やがて音楽となり、音楽から芸能へと発展していったので天河の川、つまり水が芸能の神様になった所以だという事を教えられた。きっとこの美しい音色も声も全て、自然の音をきき、調和することで産まれのだろう。
結果として1泊で去ろうと思っていたこの地が僕にとってとても深いものとなり、このインドの旅で三本の指に入るお気に入りの場所となっていた。
この地は直接的な真我探究の道を代表する地とも言われているらしいが、決してインドで有名な聖地だというわけでもない。最も人気を持つ場所が神聖とは限らないし、きっと人によって出会うべくして出会うタイミングというのがあるのだろう。一期一会の出会いがあるようにガイドブックにも載っていないのに僕みたいに何故かこの地に引き寄せられた人々がいるのは確かだし、もしインドの旅の初期にここにきていてもここまでの体験や感じる事もなかっただろう。
奇しくもこの記事を書いている今日がこの満月のギリプラダクシナからちょうど1ヶ月後の満月の日であったことに今気づいたことに宇宙の神秘というのを感じざるえなかったのだ。
人生における幸せとはきっとこのような小さな奇跡を日々見つけることで今あるこの瞬間、瞬間を味わい続ける事なんだろう。
そして、いつしか小さい奇跡が重なりあい大きな奇跡を産むのだと思うしその小さい奇跡をどう感じ取るかで未来は網の目のように変えていけるのではないかと思っている。だから例えどんな当たる占い師に言われた事でもそれは今もっている運命であって、今をどう捉えるとかで、違う未来を選ぶ事もできると思うし、人生は自分自身でクリエイトしていくものだとこのような体験をする度に強く感じるのだった。
その後、この地から2時間ほど車で走った場所にあるオーロヴィルというあらゆる主義や宗教、政治、そして国籍を越え平和と調和のもとフランス人女性の提唱により作られた世界最大級エコヴィレッジへも訪れた。
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1083961
世界中から集まった2000人以上の住民から成り立つ世界最大のエコビレッジで住民達同士は基本的に通貨を使用せず、それぞれ役割(仕事)を持って生きていくうえで必要な衣・食・住はもちろん世界各地の知恵の共有やアート表現に従事してる人も多くクオリティーの高いオーガニック食品や服・小物なども生産していた。
敷地の中央には【Matri Mandir】という巨大な黄金色のモニュメントの中がメディテーションホールになっていて、その周りを取り囲むようにオーガニック野菜などが育っていて、そこで採れたオーガニックフードを食せるレストランやカフェなどもあり、観光地としても成立していながら完全にインドや今の世の中からは独立した共同体が存在していて、それはなくなることのないバーニングマンのようでもあった。前述したインドネシアのグリーンスクールもそうだが、このような独立した共同体や教育施設は世界が混沌すればするほど今後も増えていくのではないかと思った。
この連載の前回記事
ハッシュタグ