ウェイトリフティングはカワイイ女子が集まる“女の園”だった件
その中でも目を引いたのが、女子の53キロ級に登場した橋本薫さん。「おっ、ショートカットでカワイイやん」と思ってカメラなど構えていると、クリーン&ジャークで女子の中学新記録を達成したというじゃありませんか。それも試技に挑むたびに新記録を更新していくような圧倒ぶり。スタッチとのトータルでも中学新記録となり、一躍「リオの星」という状態に。
さらに、競技中の戦いでは「力比べ」だけでなく「駆け引き」も重要である模様。重量挙げでは「軽い重量に挑戦する選手から順番に」試技を行ないます。そのため、例えば100キロに挑戦した選手が失敗して、再び100キロに挑戦する場合は「連続で試技をする」ことになるのです。連続試技となれば当然、身体への負担も掛かり、連続ミスの可能性も高まります。
そこで、「100キロへの挑戦ではなく101キロにします」と重量変更を申請して、101キログループの最後尾にまわり、回復の時間を得ようとしたりするわけです。ところが、「むむ、アイツは重量を増やしたな」と思ったほかの選手が、「私、102キロに増やします」と重量変更を申請すると、先ほどの選手がやっぱり連続試技になったりする。地味な嫌がらせみたいな行為が頻繁に行なわれていました。
また、現在トップ選手の記録を超えるためにほかの選手がドーンと重量を増したりすると、トップの選手がそれに応じて重量を増やしたりすることもしばしば。より重いバーベルを挙げたほうが勝ちだけに、挑戦する重量で負けていたら「向こうが挙げたら負け」の相手次第の勝負になります。なので、できるだけ重たいバーベルに挑戦したい。でも、増やし過ぎて失敗したら元も子もない。ポーカーで掛け金を増やしていく勝負のように、どこまで増やすか、どこで退くか、そんな心理面のバトルも行なわれます。
そのほかにも「80キロからスタートしますね」と弱気な申請をしておいてから、本番でいきなり「気が変わったので100キロから始めます」なんてことをすると、ほかの選手は泡を食うような格好になったりする場面も。チカラ勝負はもうギリまでいってしまっているので、そこ以外の心理面であるとか、繊細な技術であるとかがカギとなる。単純ではない奥深さを感じさせる戦いでした。こりゃ、半裸の毛むくじゃらではつとまらないですね。
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