“東京五輪”なのに伊豆(静岡県)開催の自転車競技を追っかけてみた件
~今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第22回~
フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営している スポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。
東京五輪を招致するとき、いかにコンパクトな大会になるかというアピールをご記憶でしょうか。招致委員会曰く、「選手村から8キロ圏内に8割の会場があるコンパクト五輪」です。ゴルフとか射撃とか一部の競技が埼玉県で実施することになっていたり、サッカーの予選が広域で行なわれることになっていたりはしましたが、なるべく東京でやろうという気持ちは感じたもの。それは審査でも大きく評価されたポイントでした。
それが今ではどんどんどんどんアメーバのように開催地域は広がり、東京五輪というか関東五輪という状態になってきています。レスリング・フェンシング・テコンドーなどは千葉県の幕張メッセで、バスケットボールは埼玉県のさいたまスーパーアリーナで、セーリングは神奈川県の江の島ヨットハーバーで。群馬・栃木・茨城は南東北だとカウントすれば、もはや関東全域が五輪会場と言ってもいい状態です。
そんな中で迎えた某週末、僕は「2020年東京五輪の会場になることが決定」している会場へ向けて出発しました。最寄駅のホームで眺めた時計が差す時刻は午前8時30分。会社にでも行くみたいな時間のお早い出発ですが、すでに競技開始には到底間に合わないレベルの大遅刻です。
目指す地は静岡県伊豆市。
エッ、し・ず・お・か!?
もはや関東ですらなく、中部地方の静岡です!
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新幹線に乗って駅弁を食べる。旅行ならグッと盛り上がる場面ですが、日帰りなのでそんなウキウキでもありません。乗車券・特急券あわせて片道5000円の移動は、もしかしたら入場券より高いんじゃなかろうか。もちろん新幹線に乗らなければ特急券のぶん安くはなりますが、その場合は試合を見る時間がゴッソリなくなるので痛し痒しです。
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最寄駅到着時刻午前10時35分。温泉地としても知られる修善寺に到着しました。すると早速、五輪の風が。東京のみなさんはまだ「え!?伊豆!?」と呆けている段階だと思いますが、伊豆にはすでに五輪の風が吹いています。当地で五輪が開催されることを喜び、住民を挙げてバックアップしていこうという気持ちが盛り上がっているのです。東京のみなさんは「今からでも止められないかな?」くらいの段階だと思いますが、現地ではもうお祭りが始まっているのです。
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当地で行なわれるのは自転車競技。実は伊豆市には国際規格を満たした国内唯一の全天候型自転車競技用トラックがあるのです。本来は「五輪を契機に東京に自転車競技ができる会場を作ってスポーツ文化の発展を目指す」という理念のもと、東京五輪のレガシーたる自転車競技会場を作るべきだと思うのですが、そこはホラ、金をケチりたいじゃないですか。国立競技場ですらケチりたいのに、自転車競技会場ですから、ねぇ。「伊豆にあるの?」「じゃそれでいいじゃん」「東京には必要ナシ」という現実的な判断によって、伊豆の既存施設でやることにしたのです。
さて、五輪会場となる日本サイクルスポーツセンター内のトラック「伊豆ベロドローム」は、最寄りの修善寺駅から若干離れていますので、ここからはバスで移動します。現地の路線バスには「サイクルスポーツセンター行き」の便がありますので、それに乗ってまっしぐらと思ったのですが……!
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「うわ、本数少ねぇ!! 午前10時30分の便に乗り遅れて、次の便まで2時間半待ち!!」と、一瞬焦りましたが、ご安心ください。この時刻表はあくまでも何もないとき用のもの。この日はアジア自転車競技選手権大会というグレードの高い大会が開催されており、会場までのシャトルバスが出ているのです。本数は1時間に1本。大型バスの定員を考えれば1時間に50人は会場に到達できる計算です。東京五輪なのに伊豆に飛ばされる程度の穴場競技なら、それでも大丈夫ですかね。うん、やってみないとわかんないですけど、きっと大丈夫でしょう。
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いやー、遠かった。何やかんやで現地到着は午前11時30分。約3時間の移動を経て、東京五輪の会場に到着しました。東京都内でこの移動時間を叩き出すには大島に行くくらいしかありません。「選手村から8キロ圏内」という話が、いつの間にか「修善寺駅から8キロ」という話にすり替わっていたのはサギみたいな話ですが、外国から来る人にとっては誤差みたいなもんです。
困るのは「わざわざ自転車競技を観るために欧州からやってくる物好き」くらいでしょうし、どうやって会場までたどり着くのかとか、どうやって宿を取るのかなんて知ったこっちゃありません。自転車競技を観にくるぐらいなら乗るのも好きでしょうから、都心まで自転車で帰ってもらってもいいかもしれませんよね。
その点で当地は自転車に関しては万全の準備が整っています。ココは「日本サイクルスポーツセンター」という、さまざまな自転車競技を楽しめるスポーツ施設となっており、その施設の一部として自転車用トラックがあったりマウンテンバイクのコースがあったりもします。お子様向けのコースや遊具などもあり、観光にもうってつけです。最悪の場合には、お困りの方に自転車を貸してあげれば、あとは自力で何とかするでしょう。
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次回、廃墟のようなセンターでフモフモ編集長が目にした信じられない光景とは?

※フモフモ編集長の「今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪」第1回~の全バックナンバーはこちら
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