更新日:2022年07月07日 18:50
スポーツ

ビンスと“テレビ王”テッド・ターナーの暗闘――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第88回

 新体制でスタートを切ったWCWは、WWEの年間最大イベント“レッスルマニア5”と同日・同時刻にTBS特番“クラッシュ・オブ・チャンピオンズⅥ”をプロデュースした(1989年4月2日=ルイジアナ州ニューオーリンズ、スーパードーム)。  “レッスルマニア5”はPPV有料放映で、“クラッシュ――”はケーブル加入世帯ならそのまま視聴できる特番。“テレビ畑”出身のハード副社長は、この特番が“レッスルマニア5”の有料契約世帯を根こそぎ奪うものと考えた。  リッキー・スティムボート対リック・フレアーのNWA世界ヘビー級選手権をメインイベントにラインナップした“クラッシュ――”は予想を大きく下回る4.3パーセントという視聴率に停滞し、収容人員9万人のスーパードームに集まったライブの観客数はわずか5300人だった。  かつて南部屈指の人気マーケットだったニューオーリンズは、MSWA―UWF消滅後、プロレスの興行は“不毛の地”と化していた。ハード副社長はそのあたりの事情を把握していなかった。  いっぽう、“マッチョマン”ランディ・サベージ対ハルク・ホーガンのWWE世界ヘビー級選手権をメインにラインナップした“レッスルマニア5”は、ニュージャージー州アトランティックシティーのトランプ・プラザに1万8946人の大観衆を動員。興行収益はこの時点でのインドア公演新記録となる162万8000ドルという数字をはじき出し、PPV有料契約数も過去最高の65万世帯を突破した。(つづく)
斎藤文彦

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