更新日:2022年07月10日 11:01
スポーツ

全米を震撼させた“ステロイド裁判”――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第110回

 同日、このニュースはAP通信、UPI通信のニュースワイヤーを通じて全米に配信され、マスメディアはこの事件の論点を“汚れた医師の薬物販売”からアメリカを代表するスポーツ・セレブリティーであるホーガンの“ステロイド疑惑”というスキャンダルに変換した。マスメディアの関心は、ホーガンがこの裁判に証人として出廷するかどうかの一点に集中した。  ホーガン・サイドの動きはすばやかった。ホーガンの代理人、ジェリー・ディビード弁護士は裁判を担当したウイリアム・コルドウェル裁判官と予備審理をおこない、ホーガンの出廷を回避した。検察が提出した“証拠”は被告の自白をもとにした供述調書だけだったため、裁判所は原告側からのホーガンの召喚要求を棄却した。理由は裁判の早期結審だった。  裁判は6月24日の開廷からわずか4日間の集中審理で結審した。ザホリアン被告は、ペンシルベニア州アスレティッック・コミッションの指定医としてアテンドしていた同州アレンタン、ハーシーをはじめとするWWEのハウスショーで1979年から1991年のあいだに15人から20人のレスラーに処方せんを書かずにステロイドを販売した事実を認めた。  医療目的以外でのステロイドの流通・販売が違法となったのは1988年11月であるため、検察側はこれ以前の事実関係については立件を見送った。ザホリアン被告は、審理中にも「ホーガンに定期的にステロイドを売った」と証言した。
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弁護側は…
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